論文の教室〜レポートから卒論まで

論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス)

論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス)

 昨年12月にオープンソースカンファレンス(OSC)で福岡大学に伺った際に、大学書籍部で買った本のひとつ。授業で使われている本だったと思います。 昨年もいくつかの大学で、教科書に使われている本を中心に買って読みましたが、この本はすごい! 「レポートから卒論まで」というサブタイトルは狭すぎます。「ゆりかごから墓場まで」と言ってもいいくらいでしょう。・・・・ちょっと大げさか。 でもそう言いたくなるくらいこの本には人生が詰まっています。論文の書き方の段取り造りを説明しているフリをして、人生の段取りについて説くのが著者の隠れた意図なのではないかと推察します。
 飽きさせない本を目指しているという著者の弁より当初不安が走りました。たいした内容がない分を単におもしろおかしくすることで間を持たせようとしているのではないか、という不安でした。が、そんな疑心を思い出す間もなく一気に読み通してしまいました。時間はかかったけど。 こんなにしれっとスゴイことがいっぱい書いてある本は久々に見ました。 
 論文を書く=ツッコまれ所が少なく論理的に破綻していない文章を書く ということなので、別に論文なんか書かないよという人にもお薦めです。


 いま私の知人がここに10人いたとすると、9.6人はこの本に書かれているテクニックを知らない。書けない。本書で説明されている「論証」に基づいた議論をできる人も多くない。(本書ではむやみやたらに「」を使用することを咎めているが、今「論証」で使用した括弧は果たして批判の対象になるものだろうか。「まぁ本当の論証かどうか知らないけど著者がいわゆる論証だと思って言ってるから論証って言っておくけどね」という意図はまったくないのだが(笑))


 学生だけに読ませるのは勿体ない。できるオトナになりたい向上心のあるオトナたちにこそ読ませたい本だと思いました。私とある程度頻繁に会う予定のある方で興味ある方がいればお貸ししますよ。読むべき! 絶対人生損してる!

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