数字を見るとおなかが痛くなる社長のための決算書の読み方

数字を見るとおなかが痛くなる社長のための決算書の読み方 (アスカビジネス)

数字を見るとおなかが痛くなる社長のための決算書の読み方 (アスカビジネス)


 税理士のウエスタン安藤氏の2冊目のご著作。前作「世界一わかりやすい会計の本」が様々な話題をぽんぽんとテンポ良く伝えてくれるものならば、こんどの作品は結構しっかりとB/S, P/L についてその本質を伝えてくれる本になっています。
 本書の構成ですが、まずB/SとP/Lについてそれぞれの成り立ちを紹介してくれます。私が自分でする会計作業は始めからコンピュータソフト上での作業であったため、試算表はボタンを押せば出てくるものだったのですが(もちろん知識としては手作業でこれらの転記や集計を行っていたことは知っています)、なるほど試算表を分解して B/S と P/L を作り出すという視点は持っていませんでした。 確かに、B/SとP/Lの両方(ぜんぶ)が入っているのが試算表だということは判っていたのに、そもそもが逆だったわけですね。「本質」を捉えて教えてくれる人の言葉は、わかりやすいなと改めて思いました。
 B/S, P/L の話が終わると後半は「悪い話」。銀行をだますための決算書の偽造(粉飾)のテクニックや税務署をだますための決算書の偽造(脱税)のテクニックを、事例を交えてふんだんに紹介してくれています。 もちろん粉飾や脱税を勧めるためではなく、「考えてうまくやったつもりかもしれないけど、この程度のことは銀行も税務署もお見通しなんですから、無駄な事に労力を使うのはやめて、本業にちゃんと時間を割きましょうよ」という事ですが。
 一応会社をやっているという事もあり、おそらく普通の(企業の会計業務に全然触れたこともない人)よりは実感を持ってこの本を読むことができていると思いますが、初めて会計に触れる人(と言っても本や株主への報告書とかwebとかで決算書を見たことくらいはあったほうがいいと思いますが)にとっても、非常にわかりやすいものだと思います。 いっぱい出ている数字のうち、ここだけ見たらいいよ、と教えてくれるわけですから。 それが「本質」なのだと思います。 その内訳を詳細に見てみたくなったら他の数字を見たらいいわけで。


 著者のウエスタン安藤氏、私は今年1月の知人の結婚式で初めてお会いしたのですが、なんだか不思議なオーラーを持っていて、あっという間に引き込まれてしまいました。 以前の日記に書いたように、3月の氏の最初の著作の出版記念パーティにわざわざ大阪まで行ってしまったくらいですから。(しかもその1週間後に別件で大阪に行く用事があったのに。。<大阪には数ねに1回行くか行かないかくらいの私が、ですよ)
 ややこしいことは後でいいからまずは小さな「本質」を理解するところを目指そうよ、という姿勢と、なにかを相手に「伝える」ということに対する並々ならぬこだわりが、普段自分が大切にしているものと重なり、深い共感となったのだろうと思っています。
 これからのご活躍も期待しています〜。


.