ヒットメーカーの寿命

ヒットメーカーの寿命―阿久悠に見る可能性と限界―

ヒットメーカーの寿命―阿久悠に見る可能性と限界―

 ある面でひとつの時代を作った人の「成功法則」を解説する本ということで手に取ってみた。しかし残念ながら私にはほとんど琴線に触れることはなかった。この本は昭和の時代の「歌謡曲」が好きでそれぞれの曲に対して「あぁあの曲がこういう位置づけになるのか」などと納得しながら読める人には楽しめるかもしれない。 ・・・と5章までを読んで感じていた。 
 6章は完全に蛇足である。阿久悠の名を借りて、著者自身の妄想全開のお説が繰り広げられる(「生きていたらこう言うであろう」「どう思うであろうか」など)。 6章を読んでこの本の本質が阿久悠をベースにして時代を語るものではなく、時代の変化に乗り切れなかった著者の惨めな思いを吐露する本であることを理解した。 要するに「"あの頃はよかった"本」である。 阿久悠後、特に平成に入ってから日本中が「15歳のままのガキ化」したと著者は指摘しているが、それに対する改善策についてはまったく触れていない。単に愚痴をこぼしてみただけだ。 おきのどくさま。


 読むのにそれほど時間のかかる本でもないので時間を無駄にした感覚は特にないが、久々に「まぁ読まなくてもよかったかな」と思えた本。


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