オラクルのサン買収に関し、MySQLのオリジナル開発者の Monty こと Michael Widenius 氏が、MySQLユーザに向け、支援を要請するメッセージを出しました。
http://monty-says.blogspot.com/2009/12/help-saving-mysql.html
(1)これまでに起こったこと(要約)
(2)オラクルが約束「しなかったもの」は何か
(3)これまでのオラクルの、オープンソースへのふるまい
(4)この情報を広めて欲しい
(5)EUへの email のサンプル
が書かれています。 オラクルによるサン買収が発表された後、これまでにも何度となくメッセージを発信してきた Monty ですが、今回のメッセージはこれまでになく強いメッセージであるという印象を受けました。
以下簡単ですがまとめてみます。あくまで参考程度にしていただくことにして、正確なことは Monty のオリジナルのメッセージ(上記URL)をご覧ください
(1)これまでに起こったこと(要約)
Monty は 27年間にわたり MySQLを開発し、育ててきた。今オラクルが(MySQLを買収した)サンを買収しようとしている。あなたのサポートでこの買収を中止させられるチャンスがある。米政府はすでにこの買収を認可済みなのでEC(EU)が最後の希望(砦)となるだろう。
一文追記:オラクルは彼らの持つ沢山の大きな顧客に、ECに対して無条件での買収承認を求める手紙を書くようにと連絡をした。
MySQLはオラクルの驚異となっている。実際にオラクルの価格を下げざるを得なくなったり顧客がMySQLを採用したりしている。ストールマンも、オラクルがMySQLを持つべきでないと言っている。
(2)オラクルが約束「しなかったもの」は何か
オラクルは「MySQLの開発に今以上の資金を投入すること」を約束した(日本でも 12/09 の日経新聞に全面広告が出た)。しかしオラクルが「約束 "しなかった" こと」もたくさんある。
オラクルが約束 "しなかった" こと:
・"すべての" MySQLソースコードをこれからもオープンソースライセンスの元で扱うこと
・クローズドソースの部品、モジュール、必須ツールなどを加えないこと
・MySQLのライセンスやサポート料金を値上げしないこと
・今後のMySQLバージョンを、定期的にタイムリーにリリースすること
・デュアルライセンスを継続し、必要な人がいつでもライセンス購入できること
・MySQLをオープンソースプロジェクトとして開発すること
・コミュニティとの活発なとりくみ
・提供されたパッチをタイムリーに取り込むこと
・MySQLがオラクルと競合する部分かどうかでパッチを差別しないこと
・オラクルと競合する部分であってもMySQLを改善し続けていくこと
(3)これまでのオラクルの、オープンソースへのふるまい
InnoBaseを買収して、オラクルが InnoDB をどのように扱ったかを見ると、Monty はあまりオラクルに期待できないと感じている。
InnoDBに関してオラクルは:
・バグフィックス(だけどこれは単に契約に基づいて義務としてやっただけ)
・買収前に発表されていた圧縮機能のようなものが、実装に3年かかった
・タイムテーブルなどの将来への開発プランがない
・コミュニティは開発への関与を許されていない
・Googleがパフォーマンスアップ用に提供したようなユーザ提供パッチが、オラクルによる買収が発表されるまで実装/リリースされなかった
・InnoDBを改良した InnoDB+ を クローズドソースで開発し始めている
・結局サンは fork した InnoDB でパフォーマンス改善せざるを得なかった
InnoDBの開発を継続したことは確かだが、これは単に、MySQL AB にプレッシャーをかけ続けるために必要だったから。
(4)この情報を広めて欲しい
Montyたちはサンから離れているので、MySQLの顧客データベースへのアクセスはできない。MySQLコミュニティとオープンソースコミュニティの協力が必要だ。
時は迫っていて、2009/12/14(月)から2週間以内には何らかの決定がなされる。
・みんなにMontyのサイトの呼びかけ(http://monty-says.blogspot.com/2009/12/help-saving-mysql.html)を見るようにメールで伝えて下さい
・この内容についてみんなのブログでも言及してください。引用歓迎。
・あなたのボスかVPに電話(緊急だからメールじゃなくて電話です!)して、Montyの文章を見て、EC(EU)にレターを送るよう伝えて下さい
・あなたが上記の誰にも連絡を取るコネを持っていなければ、EC(EU)に直接メールを送って下さい!
(5)EUへの email のサンプル
(原文を参照ください)
comp-merger-registry@ec.europa.eu 宛に、
名前、肩書き、会社名、会社規模、MySQLのインストール数、MySQLに保管しているデータサイズ(MB, GB, TB...)、MySQLを使用しているアプリケーションのタイプ、ECによってこのメールをコンフィデンシャルにして欲しいか否か
などを書き、Monty の例示した文例、および必要であれば書き加えたり書き換えたりして。
追記:12/14 オラクルはこの呼びかけに呼応するかのように「10の約束」を発表しました。Monty の懸念の「一部が」「5年間だけ」払拭されそうです。
http://money.cnn.com/news/newsfeeds/articles/marketwire/0568514.htm
(同文の記事はたくさん見つかるのに、オラクル自身の発表=一次情報=が見あたらないのは何故??)
追追記:@ush4xt さんに教えていただきました。その後オラクルのサイトでもプレスリリースが掲載されました。
http://www.oracle.com/us/corporate/press/042364
日本語要約はITmedia: Oracle、MySQLに関する10の約束を発表
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0912/14/news083.html
.