測量士補試験を受けてみた話

 MySQL 8.0 で GIS の機能が本格的になった(測地系の概念が入った)ことをきっかけに、位置情報的なものに興味を持った私です。最近はもう、MySQLの機能とは関係ないところで*1、緯度経度がどうやって決められているかとか、地図作るのにどうやって正確に場所を特定したり写真を上手に補正したりするんだろうという所に興味を持ったり、蘊蓄を語りたくなるポイント(地図学の聖地と呼んでいます)を訪問して密かに感動してみたり、勝手に盛り上がっています。
 そんな中で知ったのが「測量士試験」と「測量士補」試験。いや、存在は昔から知ってたんですよ、たぶん。でも全然眼中になかったというか、自分とは関係ない世界の話だと思っていたのです。そんなわけで、とりあえず「測量士補」。ぱらぱらと本屋さんで参考書を見てみると、興味を持っている分野を多く含んでいるので、おもしろそう! ということで、受けてきました。この日記では、そんな測量士補試験の紹介と、感想などを綴ります。

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写真は測量士補試験

測量士補試験とは

 測量士の作製した計画に従い測量を実施する「測量士補」になるための資格試験です。本気で測量のお仕事をするならば、実施計画も立てられる「測量士」を目指すべきなのでしょうが、私のような趣味の延長である部外者にとっては、ちょうど良い感じです。国家資格です。
試験は年1回だけ。 28問の5択問題が出され、18問以上で合格となるようです。

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国家資格

レベル感(主観)

 難易度的には、情報処理試験で言うところの、旧2種(基本情報技術者)に相当するくらいの位置付けかなぁという印象を受けました。部外者にとってはそれなりに難しい問題もありますが、業界内ではこの程度の知識は持っていて当たり前、と思われてるんじゃないかなぁ。知らんけど。

おべんきょう

 私はいろんな事に興味を持っては、その業界の試験を試しに受けてみて玉砕しているのですが、自分でも理由は分かっていて(能力がないということは脇に置いて)、試験の勉強をしないんですよ(笑)。 その世界の内容に興味を持ったから本を読んでみたり調べたり勉強したりしているのであって、試験に受かるために勉強しているわけじゃぁない、という矜持のようなものがあるからなのですが、今回はなんだか受かりたい気分になり、珍しく「試験のための勉強」をしました。 
 数ヶ月前、試験を受けてみようかなと思い始めた頃に、まず3年分の過去問をPDFでダウンロードして、電車内で全部眺めました。常識的な設問もありますが、大部分は意味がわかりません。当然です。
 次に、試験対策本を1冊手に入れて、電車の中で読みます。眺めている過程で「計算問題」がキモになりそうだと分かってきたので、計算問題に特化した本を途中で1冊追加。結局、試験対策としては以下の2冊を使ったことになります。
建築土木教科書 測量士補 合格ガイド 第2版 測量士補 計算問題の解法・解説 (国家・資格シリーズ B7)
 主な勉強時間は電車の中だけなので、ほとんど実際に手を動かして書いてみることをしていません。褒められません。
 こりゃいかん!と本気を出しました。 かなり気合いを入れて猛勉強しました。 金曜夜から・・・。エンジンかかるの、遅すぎ。
測量士補は電卓を使うことができず、それでも時に三角関数の値を使った4桁の割り算などが出てきたりするので「筆算」をするわけですが、何十年ぶりだろう、手でこんな計算をするのは。 自分でも驚くくらいに 繰り上がりとか繰り下がりとかでミスをするのが可笑しかったです。 
 金曜夜、土曜終日*2と、上で紹介した計算問題の本(そう、この金曜日に始めてちゃんと開いたんです)、過去問3年ぶん、少し理解しにくかった点をWebで情報収集して理解、の三点セットで実施しました。 ひたすら鉛筆で解くこの感覚、懐かしい気がしました。

試験当日

 試験当日の勝手がよくわからなくて不安だったので、これから受ける人のために情報を箇条書きで。

  • 測量士補の試験時間は案内されているとおり3時間
  • 90分経ったところで途中退出が可能(最後の15分は退出不可)
  • ただし、途中退出時には問題は持ち出せない。回収されます。退室せずに試験終了時刻までいれば試験問題を持って帰ることができます
  • 問題用紙はホチキス留めされた冊子。用紙の片面だけに問題が印刷されていて、裏面は白紙です。 ただ、見開きにしたときに、右ページに問題、左ページが白紙、という、空白部分を計算用紙として使うには、やや使い勝手の悪い作りになっています(右利きの場合)
  • 試験会場へは、試験開始時刻の1時間前から入ることができます。開始時刻の30分前には着席していること。ただ、30分前に試験官が部屋に入ってきますが、実際に説明開始したり用紙の配布を行うのは15分前になってからでした。それまではトイレに行ったりすることはできます(とは言え、混むこともあるので、そんなギリギリをアテにせず、余裕を持って色々済ませておきましょう)

試験内容の感想

 概ね、過去問をしっかり解ける状態になっていれば受かるんじゃないかなと感じました。ただし今回(R1)は新問も登場したので、事前に捨ててる分野があってギリギリな人は、そこが命運を分けたかもしれません。 新問と言っても、要約すると、数値と計算式が与えられて、その計算結果は幾ら?みたいなもので、知識を問うというよりも、書いてある内容をちゃんと読み取れるかな?ということが試された問題のようにも見えました。個人的には、解いている時には「え!?これでいいの?」と不安になりましたが、冷静にあとで考えると、文章理解力が試された良い問題だったように思います。

さいごに

 解答速報が一番早かった アガルートさんに感謝。帰宅したら既に解答例速報がアップされていて、その後ごはんを食べ終わったら「ざっと解説」の動画が公開されているスピード感。 火曜日には全問の(?)解説が公開されるそうで、楽しみです。 
 今回、興味本位で受けてみましたが、久々に、パズルを解くような楽しい試験時間でした。 さて、私はいったいどこに向かっているのでしょう(自分でもよくわからない)。




以下は、「おべんきょう」を始める前に興味を持って読んでいた本の一部(読みやすかったもの)
新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫) マンガでわかる測量 絵で見る 基準点測量 絵でわかる地図と測量 (KS絵でわかるシリーズ)

*1:だって関数がなかなか増えないんだもん

*2:実際には半日プラスアルファ程度