登記所備付地図XMLの勉強会を開催しました

 1月下旬に公開された 法務省の 登記所備付地図XMLデータを、私も2月に入ってから色々触っていました。私の中に一定の情報と初期体験が貯まったので、こんな説明会を開催しました。
connpass.com

 私の周りにいる方々よりは本データについて少し知見を得たので、聞きたい人がいたら説明するよ、っていうか私も一旦整理してみたいから誰か聞いて! くらいの感じで企画したのですが*1、フタを開けてみれば、40名を超える申込み*2をいただきました。「登記所備付地図XMLデータ」に対する関心の広さを感じました。

ここまでの本地図XMLと私の流れ

  • 2023年1月23日正午
  • 2月3日
  • 2月4日
    • 午後:自分の作業結果を公開するためのGitHubリポジトリを作成
    • 夜:最初のダイジェストCSVデータを公開
      • その後、最新状態への追随(kuwanauchiでの抜けへの対応等)や集計データの公開など続々
  • 2月11日
  • 2月13日
    • 一旦自分の得た情報、体験した内容を吐き出しておきたく、周りの人に「聞いてくれる人いる?」と様子伺い。
    • 数名から「聞きたい!」と言っていただけたので、開催決定。connpass準備
  • 2月14日
    • 本イベント情報公開、受付開始
  • 2月16日
    • 本イベント開催


 実はイベント後の雑談の中で私自身も初めて気づいたのですが、初めてデータを見てから2週間も経っていなかったのですね。ほんと、新参者のニワカであります。

参加者事前アンケート

 connpassでの参加申込み時に、アンケートへの回答を数問、お願いしました。

Q:法務省 登記所備付データの公開を知っていましたか(n=44)
7 既にデータを利用して開発している
6 データはダウンロードしてみた段階
13 知っていて情報収集に努めている
7 知っていたが特にアクションしていない
11 今回のイベントで初めて知った

 このイベント開催によって「登記所備付地図データ」を知ってくれた人がいたのは、嬉しい事でした。面白そうなデータだなと思ってくれたか、面倒くさそうだから自分はいいやと思ったか、いずれにせよ、今まで知らなかったものに触れていただく機会となったならば幸いです。

Q: 登記所(法務局)に行ったことがありますか(n=44)
2 日常的に。
7 何度も。
12 行ったことはある
23 一度もない

 私は自分の会社の謄本を取る時など時々行っていたので、多少身近に感じていた部分はあるのですが、半数以上の方が一度も行ったことがないという回答となりました。参加者の中には家を買ったことがある人も多いと思うのですが、そういえば私自身も、家を買う手続き自体はすべて専門家に任せて、自分自身で登記所に行く必要はなかったですね。(候補となっていた複数の不動産登記情報を確認するために、事前に自分で謄本取りに行ったりはしましたがw。普通はしないですよね)

 余談ですが、20年以上会社をやっていると、登記所での会社謄本の取り方も、自分の登録先の登記所で「紙に申請者と取得したい(自分の会社の)情報を書いて提出、発行待ち」だったのが「カードを入れて機械で申請、発行待ち」に変わり、いつの間にか登録先ではない別の登記所でも取得できるようになって、と少しずつIT化の努力を続けられてこられたことを体感します。 あとはあれだ。印紙を別途買って納めるというやつ。あの決済部分さえ廃止されれば*3いいのにと思います*4

Q:amx-projectを知ってください!

 アンケートの3つめは、おふざけの設問でした。「登記所備付地図XML」について情報をまとめたり情報交換している amx-project。私も大変お世話になったので、皆さんにこの機会に名前を知っていただけたらなぁと思っての設問でした。回答の選択肢は「はい」「はい」の2つ。
 任意回答項目にしたので、「わけわかんない」「やだ」という方は無回答にできるようにはしていたのですが、多くの方が「はい」を選んでくださいました。おふざけに付き合っていただきありがとうございます。なお、Connpass のアンケートは回答の文字列でしか分からないので、皆さんがどちらの「はい」を選んだのかが分からないのが残念でした。


主に説明した内容

 資料を公開しているので(本エントリの末尾にリンク)詳細はそちらをぜひご覧ください。この10日間での私の体験と、本件に関して私がたまたまこの数十年の間に体験したり知っていたりしたことを織り交ぜて、本件地図の入り口を易しく説明できているかと思っています。

  • 「登記所備付地図XML」。そもそも登記所って何よ?登記って何よ?
  • 登記所の地図、って何よ
    • 「地租改正」って昔習ったでしょう?あの延長にあるものですよ
  • 本件XMLデータの「座標」の表現である「平面直角座標系」について
    • 基本的な説明のほか、余談として「2系原点」の紹介をしました
    • 関東をカバーする「9系原点」について、以前も「確か埼玉のあたりだと思うんですが」「いえ。千葉県ですよ」というやりとりをしたのに、今回もまた「埼玉のあたりにあると思うんですが」「千葉県です」というやりとりをしてしまいました。ご指摘ありがとうございます。今度こそ覚えます!
  • 実際の本件地図XMLデータを見せながら、その構造や含まれている情報について解説
  • 平面直角座標系から経緯度への変換について
    • 難しい式(国土交通省が公開している式)を見せて「難しいでしょ?はいどうぞ」と投げるスライドを作成(イベント2日前)
    • よくよく変数の関係を追っていったら、意外とシンプルかもと気づく
    • 自分で変換関数を実装しちゃいました(イベント1日前)
    • このブログを書いている時点では、この変換関数を使ってgeojsonを生成するプログラムも公開済です:-)
  • カドが丸いエリアの、本件XMLでの表現方法について
  • 私の「地図に載せず、ひたすらデータだけを見る」の取り組みについて小ネタを色々
    • そのまま全件をCSVに吐き出して公開する試みは、データ量が膨大で断念(私の手元にはありますが公開できるサイズじゃないし、このまま使いようがないのでそのうち消します)
  • 「伝習」のススメ

各種リンク・スライド公開

関連記事(前回の私のエントリー。ダイジェスト公開について):
sakaik.hateblo.jp


発表スライド(事後に補足追記済):
speakerdeck.com


動画:
 一応Zoomで取った当日動画が手元にはあるのですが、公開場所や公開方法が決まっていないので、今のところ公開していません。(見たいという人がすごくたくさん居るとか、公開の手間を引き受けてくれるとか、公開場所の申し出とかあれば考えるかもしれません、、がまぁないでしょう:-))

まとめと今後

 企画、運営、登壇と「自作自演」のイベントにご関心を持っていただきありがとうございました。イベントにはこの道に超詳しい方々にも参加していただき、ツッコミ、ご指摘、ご指南等、たくさんのことを私も教えてもらいました。とにかく「住所」と「地番」は基本的には何の関係もない別々のものだというのが衝撃でした(新しめの地域は揃えているものも多いようですが、とにかく地租改正からミャクミャクと...(略))
 私にとっても、まだまだ知らないことだらけの分野ですが、このデータの持つ可能性には非常に期待をしています。ご興味を持たれた皆さんと一緒に、面白い事をもっともっと発掘していきたいので、ぜひ興味を持った方はご自身でも試され、そしてなんらかの発信をしていただけたらと思います。

 このブログを書いている時点では、既にXMLファイルからGeoJSONを吐かせるプログラムの暫定版ができており、任意座標系のものを公共座標系に調整する仕組みも仮実装できているので、それらの完成と、あとは私もそろそろビジュアライズのテクニックを身につけたいと考えています。さしあたって MapLibre お勉強中ですので、先達の皆様にはこれからも色々学ばせてもらいたいところです。


 あと、ひっそりとイベントタイトルに「(1)」というのをつけてあります。「(2)」もやりたいですね!


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*1:SNSでお尋ねしたときに真っ先に「聞く!」といってくださった皆さんありがとうございました

*2:実参加者は40名弱かな。多少増減していたみたいで瞬間最大を私は確認していなかったのですが

*3:たとえば申請機でPayPay決済、カード決済できるとか

*4:もっと言えば、そもそも紙の証明書を発行してもらうのか?という方向の進化は期待したいところでもあります