日本水準原点一般公開2024

今年は5月22日が水準原点の一般公開日でした。コロナ禍期間を挟んでなかなか行けていなかったので、久々に雰囲気を楽しみに行ってきました。

普段はひっそりと佇んでいる標庫のまわりに、たくさんの人があつまって、国土地理院の方の説明を聞きながらわいわいやっている空気感。なんだか嬉しくなりますね。


モノ自体はもう何回も見ているので「今年もご開帳でお目に掛かれました」という感じですが(だから意外とブログに使えるような写真を撮っていなかった)、国土地理院の方に質問したり色々教えてもらったりしながら、他の来場者の方とゆるやかに交流するのが楽しかったです。前回訪問時から私自身もいろいろと体験(と少しばかりの知識)も増えていたので、聞きたいことがたくさんあり、(他の方もいるのでいつまでも質問攻めにするわけにも行かず)その一部ではありましたが疑問解消できて、とても良い体験になりました。

以下ざっくりと記録をかねて箇条書き風に。

  • 電子基準点にいくつかバージョン(タイプ)があるようだが?→ 進化しているので時期により。今はコレ(水準原点の脇にある電子基準点)と同じタイプを作る。
  • なぜコレ? → 古いタイプのは日照によって僅かだがねじれる。新しいのは二重構造になっている。(今回あろうことか電子基準点の中の写真を取り損ねていたので写真なし)
  • 電源は? → 基本的に商用電源を使用。切れたときに太陽発電を活用する仕組み。バッテリーは4基搭載している。
  • 通信回線は? → 有線と無線の2回線ある。有線をひけない場所は無線2本だが、業者は変えている。
  • 見て回るのが好きなのだが小学校によくあって写真撮りにくいw → 長く設置できる箇所ということでお願いしていた経緯もあるが廃校なども結構あり苦労している
  • 電子基準点ってどんどん作ってるの? → 実は最近あまり増えていない
  • 最近フレア話題だけどGPS狂うの?(これ質問している人多かったですね。みなさんアンテナがお高い。電子基準点だけに)→ コレは色々使って補正するので狂わない。自動車搭載のものはコレに比べてシンプルな仕組みなので影響があるかも?
  • 目の前に引照点(じゃなくて付属標という名前だったかも)があるが → ココの付属標は特に他よりも大きめで距離もゆったりしている。
  • 電子基準点が示す「高さ」は付属標の高さ? → No。アンテナの位置の高さ。
  • 標高の測り方が大きく変わるって? → ジオイドの話ですね。来年くらいに実用化できるよう頑張っている。
  • 今日は「高さ」の一般公開だが、「位置」の基準点でもこういう説明をしてくれるイベントやってほしい → 検討する。
  • (電子基準点の話はここまで:もっと知りたい人は https://www.gsi.go.jp/eiseisokuchi/eiseisokuchi41012.html )
  • この水準原点って今も測ってるの?使ってるの? → 年1回、油壺から測定している。実際の測量に使う際は周辺の一等水準点が使われることが多い。
  • 水準測量ってさくっとできるものなの? → だいたい1日に2kmくらいしかできない。結構大変。
  • 水準原点の水晶はどうやってハメたんだろう → よくわからない。ただ、はめ込んでる石の上部が切れていてあとから石を填めているので、そういう手順と思われる。

  • 甲乙丙丁戊 → 周囲にある5つの一等水準点。甲と丙くらいは多くの人が見るし、乙もすぐ脇なので確認する人も多いけど、Twitter(X)で "丁" まで確認している人を見かけると嬉しくなっちゃう!
  • 戊 → 数年前までは憲政記念館の目の前にあったけど、いまは立て替えのために全然違う場所(南西の角)に移転した。

- 2024年の「戊」

 - 2019年の「戊」

  • すぐ近く(公園内)に「水準基標 No1/No2」というのがあったがあれはなに? → わからない(お一人に聞いただけなのでたまたまご存じでなかった可能性もあります)



あまりにも楽しくて、1時間半近くも滞在してしまいました(笑) 。
いろいろ教えてくださった国土地理院のみなさま、そして緩やかに交流させていただいた来場者の方々、どうもありがとうございました。

余談

興味関心をこじらせて(?)5年程前に測量士補を取った私ですが、完全にペーパーでして、全然測量機器を触ったことがありませんでした。とりあえず触れるものを触って「こういうふうになっていたのかー」と理解したくて、レベル(水準器)を買ってしまったのが、まさにこのタイミングでした。 日本水準原点を見学していっぱいお話を聞いて家に帰って、開梱、というまさに「水準デー」(笑)。

お試しのつもりなので三脚も低いですし、スタッフも一番コンパクトになるやつ(つまり誤差が出やすい)なのですが、まさに「えっ、こんなふうになっていたの!」という驚きの連続でした。
以下、別のSNSに書いたものを転載。

  • 今回買ったのはスタッフも三脚も短めのもの。大きいのがあっても置き場にも取り回しにも困るし
  • スタッフは、伸ばしたときに裏がわにロックボタンがある。へぇ、こんな仕組みになっていたのか。
  • 測量用の三脚はゴッツイ。開き具合を調整する仕組みは全然なくて(股関節が硬いので簡単には動かないけど)、基本的には地面にぶっ刺すことで固定を担保する思想っぽい
  • ぶっ刺すために専用の「蹴り口」がついている。蹴るというか乗っかるというか。
  • レベルを固定するためのねじが(カメラなどでよく使うものに比べて)ラフというか自由度が高い。そしてその下部に、錘をつるすためのフックがついているの、測量っぽくて面白い。
  • レベルの水準確認用の気泡合わせ、難しいけど面白い。まだ考えながら調整している感じなので、感覚的にわかるよういなりたい
  • レベルって平行な位置の高さを測る(というかスタッフの値を読み取る)だけだと思っていたら、水平角も測れるんですね(簡易的)。知らなかった
  • 測量士補のお勉強をしていた時だったか、誤差消去のためにレベルを「ひっくりかえして」十字線誤差を打ち消すんだと学んだのだけど、今回のはそんな仕組みはない。もしかして「ひっくりかえす」の軸が思っていたのと違う可能性もあるので調べ直しておきたい。あるいはもっと精度を求める機器では(私が思っていた方向で)ひっくり返す仕掛けがあるのか

今回はいわゆる受信機(入ってきた光を見るだけ)ですが、なんか送出する系のおもちゃもほしくなってきてしまいますね。墨出し器とか(笑)。