FOSS4G 2025 Japan に参加

2025年10月12日に開催されたFOSS4G Japan のコアデイに参加してきました。この前日にはハンズオンデイも開催されていたのですが、立て込んでいたこともあって、今年はコアデイだけの参加にしました。
www.osgeo.jp

今年のテーマは『 Connect to [ ] 』。多くの登壇者が括弧内にそれぞれの Connect to を入れて発表してくれました。幅の拡がりが大きな、良いテーマだと思います。

活きた心地がしない(笑)

 今回の講演は多くの時間で3トラック並行で行われました。1階に1部屋、地下1階に2部屋。この地下の部屋が、携帯の電波が全然入らない。講演を聞きながら検索をしたりツイートしたりするためにネットワークにつなげたいものですが、それが叶わぬ今回のイベント。なんというか息ができないようなそんな気分でした。特にツイートができないというのはイベントとしてもちょっともったいなかったかなと思います。これが今回のイベントの唯一にして最大の残念ポイントだったかな。

今回はほぼ聴衆に徹する

 私は一応OSGeo.jpの運営委員なのですが、時間の都合もあって、今回のFOSS4Gの実行委員的な活動にはほとんど関わることができませんでした。なので今回はほとんど一般参加者気分で気楽に参加させていただきました。いつも以上に内容に集中してイベントに参加できたような気がします。これもこれでいいなぁ。

印象に残った話題・講演

データベース三部作

 やはり私のホームグラウンドですから、特にデータベースに関する3つの講演は非常に興味深く聞きました。
 井口さんの講演では、PostgreSQLをローカル以外のどこで動かすかという話題で、特にPostGISが動作することが大事です(この点、MySQLならオールインワンなので、こんなことを気にしなくて良いですね(笑))。紹介された中でNEONというサービス、こちらちょっと気になりました。後で触ってみたいです。スライドとデモページを公開してくれています。


 boiledorange73さんの講演ではPostGISでのトポロジーデータの扱いについて。最近、法務局の登記所備付地図データに触れることが多いので、そういった境界線を持つようなデータの扱いに便利そうだなと思いました。一方で、制約ガチガチのデータ構造ということでもあるので、意外と実際に触ると使いどころが難しいのかなという気もします。
 MySQL枠ではいつもの山崎さんに変わって梶山さんが登壇。決して得意なジャンルのご講演ではなかったと思いますが、いつもと違った雰囲気で、MySQLGIS機能について話を聞けたのが新鮮でした。のんびりと聴講していたら突然、私が最近ThinkITで始めたMySQL GISの連載を紹介していただき、いきなり「真ん中に座っているあの人」と名指しされて、机に頭をぶつけそうになりました。何度も何度も紹介していただいてありがとうございます! その連載はこちらです↓
MySQLで学ぶGIS入門 記事一覧 | Think IT(シンクイット)

MAPPLEのMapLibre Style Specの工夫の話

 長年の地図作りで培われたノウハウが詰め込まれたマップルのオンライン地図。ベクタータイルをMapLibreで描く際の様々なノウハウが興味深かったです。道路や鉄道などの立体交差での表示順序や、地図を回転したときの文字の表示、色の指定など、細かいノウハウ満載の講演でした。個人的にはこの数年間はMAPPLEさんが作ったホーム局地図ビューワーで頻繁に地図を利用させていただいています。
https://labs.mapple.com/mapplexml.htm

pmtiles

 台湾付近から来日して公演してくれた bdonさん。英語での講演だったため、おそらく半分も理解できていなかったと思いますが、私の事前調査が甘くてbrandonさんが何者かを把握しないまま最後まで講演を聞いてしまいました。何を勘違いしたかって、PMTilesを使ってProtomapsというサービスを作ったのだなと思って聞いていたんですが、実はPMTilesの発明者だったと後から聞いてひっくり返そうになりました。事前調査と英語を聞く能力、やっぱり重要ですね。PM Tilesについては名前を聞いたことがある程度でしたが、興味深い点も多く、機会があったら触れてみたいと思いました。

その他

 若手の講演があったり、行動や活動を呼びかけるようなお話もあったり、情報発信の話があったり、それぞれ大変興味を持って聞かせていただきました。
以下は講演で紹介された、日本での地理空間情報の話題を英語で海外に伝えるサイト。こういった活動を積極的にされていることに頭が下がります。長く続いてほしいです。
jgtimes.org
あと、植生図の公園も面白かったです。今までの歴史や技術的な話ももちろん面白かったのですが、一番最後に紹介された植生図からこんなことがわかるという話が、データが生き生きとして見えて引き込まれました。

たくさんお会いできた

 今回もたくさんの人にお会いすることができました。一応、この分野は素人なのですが、たくさんの人が私のことを覚えていてくださり、声をかけてくださり、色々なお話をすることができてとても楽しかったです。ほんと、ありがたい。ありがたい。

懇親会

 隣のビルの7階で懇親会。もちろんエレベーターはあるのだけれども、待ちきれずに階段を上っていく人がそれなりにいて、やはりジオ系は健脚の人が多いのかななどと思いました。みんな元気だなぁ。 立食形式の懇親会ではいつもお腹を空かせて帰る私ですが、お食事も結構立派に用意していただき、お腹も満足、おしゃべりも満足の懇親会でした。手配してくださった方GJ。
 全部はここには書き切れないのですが、たくさんの情報交換をしたり、知らなかったことを教えていただけたり、とても有意義で楽しい懇親会でした。
 懇親会でのライトニングトークは気づいたときにはもう受付してないよと言われたので、諦めて特に準備をしていかなかったのですが、急遽発表できることになり、慌てて懇親会の会場の隅っこで資料を作りました。今年1年間、関西、九州、北海道のFOSS4Gで発表してきた内容を大駆け足で紹介する内容です。3地区で120枚近く。みんなが使っている緯度経度(または平面座標系のメートル)の根拠となっている測量に関するモニュメントや緯度経度に関するモニュメントなどを紹介していますので、よかったらぜひ3地区の資料と合わせてご笑覧いただければ幸いです。

speakerdeck.com

帰路

 こんな感じで、講演も懇親会も脳みそが刺激されまくりでとても満足のFOSS4Gでしたが、帰り道に電車でご一緒したKirimotoさんに教えてもらった情報が、今日1日のすべてを上書きしてしまうぐらいの重大情報でした。Kirimotoさんには一昨年も英語学習のアプリを教えてもらったことがあり(いまでも課金しています。最近ちょっとサボり気味ですが)、どこでこんな情報を手に入れるのだろうというくらいの幅広い良い情報をお持ちのことに、本当に頭が下がります。
 教えてもらったのは音声入力のソフトです。話を聞いてまさにこんなのが欲しかったと直感し、早速インストールして使ってみています。詳しくは別のエントリーで書こうと思っていますが、変換精度も高く、言い直しなども適切に修正してくれて自然な入力ができるなど、想像していた以上に快適です。このエントリーも大部分を音声入力で入力しています。キー入力とシームレスに使うことができるので、所々手で直したりしています。手で打ちたい時にはそのまま手で打てたりして、使い勝手が良いと思います。
 とりあえず1000ワードまでは無料で使えます。それ以上は課金により無制限利用可能なのですが、私にとっては年間96ドルは「アリ」な、満足の動作でした。以下のリンクからサイトに行ってダウンロード&一定量使用するとお互いいいことがあるみたいです(課金ユーザーにアップグレードするか2000ワードを使ったときに双方に10ドルのクレジットが入るとのことですが、無料利用が1000ワードなので、ちょっとこの辺の整合性がよくわかりません。いずれにせよ、とりあえずこのリンクから使ってみるといいと思います)

aquavoice.com


いやはやジオ系を勉強しに行って音声入力情報に満足して帰ってきてしまいました(笑)。皆様どうもありがとうございました。

今回、FOSS4G Japanに行ってきました的な写真が一枚もなかったので、セミナールームの一室で使われていた高性能自動追尾カメラの写真でも.