- 作者: 藤本篤志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: 新書
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何がキライかって、ダメな理由を探したり、言い訳のための言い訳を考えるのが大嫌い。そんなものは夜山手線に乗っていれば、新橋すぎたあたりでイヤというほど聞ける。
・・・・と思って、タイトルは目にしたことがあったものの完全にスルーしていたこの本。取引先の方が紹介していて「何故こんな本を紹介してるのか」と内心がっかりしつつも、これは何かあると思い、手に取ってみました。
まず「うちにスーパー営業マンがいれば・・・」などと嘆くダメ上司をバッサリ。
営業とは以下の3つであると、非常にシンプルにまとめています。
(1)営業結果=営業量×営業能力
(2)営業量=営業時間−(意識的怠慢時間+結果的怠慢時間)
(3)営業能力=営業知識量+営業センス力+グランドデザイン力
同じ能力をもった人が飛び込みで営業に入って成約できる率は商品が同じであればそれほど変化はしない。 たとえば0.5%ならば、1000件営業して5件成約できるわけで、それならば営業量を仮に3000にすれば15件成約できる。ということを身を以て体験してきた著者。それが(1)。
営業量を増やすためにはどうしたらいいのかを考え、逆に営業量を減らしている要因は何だろうと考えたのが(2)。 意識的怠慢時間というのはサボりのこと。 結果的怠慢時間というのはムダのこと。 明快です。
その「ムダ」の最たるものとして営業日報をやり玉に挙げているのも痛快。ある目的があってメンバーに行動を強いるわけだから、その行動(ここでは「日報」)がその目的を満たさないのであればやめるべきとのこと。 ムダな会議、無駄な移動、無駄な資料作成etc。 作ること、実施すること自体が目的になりそれにより得られる成果に目が行かなくなったらまずそれらは ムダ だと呼んでよさそうです。
また、本書では「スーパー営業マンは(結果としてできることはあるかもしれないけど)不要である」として、普通の営業さんそれぞれのレベルを上げることを提言しています。とはいえ、本当にダメダメな人に対して「そういう人には会社から去ってもらったほうがいいでしょう。」と言い切る小気味よさ。 社員を大事にすると口で言いながらも社員(部下)を育てていない組織の多さに目を覆いたくなる昨今、もちろん育てるための一定の努力はするもののそれでもダメな人に対して退場勧告することを厭わない姿勢は素敵です。
最後にこの本の「まとめ」とも言うべき七箇条。
(1)減点主義で部下を評価してはならない
(2)自分との距離感の遠近で部下を評価してはならない
(3)人気取りをしてはならない
(4)誹謗中傷に耳を貸してはいけない
(5)部下の力不足に優越感を感じてはいけない
(6)出る杭を打ってはならない
(7)哲学を持たねばならない
ひとつひとつに説得力がありますね。先日この日記で紹介した「行動科学マネジメント」(http://d.hatena.ne.jp/sakaik/20081113)にも「部下と競ってしまった愚かなマネージャ」の話が紹介されていましたが、本質は皆同じなのだなぁということを感じさせられました。