これは MySQL闇歴史 Advent Calendar 2022 の2枚目のカレンダー8日目のエントリーです。
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MySQLという名前の「My」の部分は、MySQL初期開発者のモンティ氏の娘さんの名前に由来することは、今やすべての人が知る事実である。
しかし一瞬、そうでないかもしれない時期があったことは、ほぼ知られていない。
(追記:本内容には、多少の事実誤認が含まれていることが判明した。待て続報)
知名度 :☆☆☆☆☆
闇度 :★★★★☆
歴史の証人度:★★★★★
MySQLのMyやMariaDBのMaria、MaxDBのMaxなどは、モンティ氏の家族の名前に由来することは、『MySQL闇歴史アドベントカレンダー3日目 MaxDB』 でも紹介された。
このことは、MySQL 8.0 リファレンスマニュアルにも明記されている。
MySQL 8.0マニュアル(en):
MySQL 8.0マニュアル(ja):
この「My」が娘さんの名前に由来するわけではないとされた時代が、実はあった。昨日の 『MySQL闇歴史2 MySQLの製品版にRENAME DATABASEはあったことがない』 でも紹介された、MySQL 5.1の日本語マニュアルだ。
そこにはこう書かれている。
MySQL 5.1-betaマニュアル(ja):
日本語マニュアル作成時に、誰かが自分の意見を入れたのではないかという説も捨てきれないので、英語マニュアルを確認する必要がある。
対応するレイアウト済の英語マニュアルは所持していなかったが、同マニュアルを翻訳した際の元ネタとなったファイルが出てきたので、該当部分を紹介する。
やはり英語版でも、"My"は「娘さんではなかったかもしれない」のだ。
なお、その後の MySQL 5.1 リファレンスマニュアル(現在入手可能なものを含む)では、この部分はバッサリとカットされて、以前(MySQL 3.23/4.0/4.1マニュアルどおり)のシンプルな説明に書き戻されている。beta版のマニュアルを見たモンティ氏から「誰だこれ書いたのは!Myは俺の娘の名前由来だ!」とお叱りを受けたのかもしれない。
現在の MySQL 5.1マニュアル(en):
MySQL 5.1の日本語マニュアルは、MySQLの闇歴史に触れることができるネタの宝庫と言えそうだ。余談だが、現在の MySQL 5.1マニュアルには存在しない「MySQL AB の概要」という節も、この日本語マニュアルには含まれている。
追記
その後の調査により、もう少し複雑な変遷をたどったことが見えつつあります。週末頃までに別途、追加情報を書くかもしれません。
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