ツール・ド・フランス参加選手で最初の陽性反応が公表されました。リクイガスのベルトラン(元ディスカバリー)です。私はロードレースを「見て、応援して、楽しみたい」という対象として位置づけているので、こういった不快な事はあまり日記では採り上げないことにしていましたが、とても共感できる日記に出会ったので、思うところを書いてみることにしました。
○某自転車ロード選手の雑日記
http://d.hatena.ne.jp/abeyoshi1969/20080713
某アベ選手(推定)の日記です。
病気の人には一定の薬の使用が認められている点に対する疑義は私にはよくわかりませんでしたが、その他の主題2点については非常に共感しました。
・いったいドーピングとなる「基準」はどこにあるのだろう。選手は何を気にしながら生きて(飲食して)いけばよいのだろう
・絶賛から掌を返したような態度を取る人たち、普段は感心を示さないのに一旦弱みを見つけると鬼の首を取ったように騒ぎ出す人たちへの切ない思い
人間は、その人が弱ければ弱いほど、自分よりも弱いものを見つけて安心するものです。自分はまずドーピング検査にひっかからない(検査される機会なんてないから)という立場を担保した上で、陽性が公表された選手をこき下ろす。他人を叩くことで自分が最低ではないことを確認し、心の安定を保つことができるのです。 下ではなく上を見ながら生きていったほうが実りが多いし「楽しいスパイラル」に乗っかることができて良いと私は思っているのですが、残念ながら、それができずに「下」を見ることのみで自分の存在価値を確認する人が一定量いるのも事実。 我々にできることはそれを無視するか、そんなことを言っている人が逆に世間から冷笑され蔑まれるような「常識人の世界」を作るかのどちらか。 諦めを無視という手段で表現したくはないので、時間はかかりますが後者の状況となるよう、正しいことを言い続けるしかないのでしょうね。
ここ数年、ツール・ド・フランスの中継は GREEのコミュで盛り上がっています(http://gree.jp/?mode=community&act=bbs_list&community_id=148277)。連日、各ステージごとのスレでは数百のコメントを付け合う盛況ですが、そのコミュに私が書いたコメントの一部をここに引用したいと思います。ちょっと茶化して書いてはいますが、某アベさんの「基準に対する疑義」の思いに近い部分があるのではないでしょうか。
私は常に「選手たちを信じたい」という立ち位置で観戦していますので、今回も(もちろんあのランディスの時も)、たとえば人間が集中力や緊張感を極度に高めた時に人間の体には、まだ我々の知らない「パワーの源を生成する能力」があるんじゃないか、などと思っています。
あるいは食べ物との相互作用によって「にんにく食べて集中力高めると××が生成される」みたいなのとか(^^;)。ということのウラを取りたいので、選手もチームも(後ろめたいことがないのであれば)まずとりあえずは「食べたもの飲んだもの」の全てをデジカメで写真だけでも残しておいてもらえるといいのになーと思います。
陽性反応を指摘されたらチームは過去2週間分くらいの全食べものを、webに公開してみる、とか。 いろんな人が見たらなんかわかるかもしれない、とちょっと期待しています。
あと、さらに余談ですが、調査や実験というのは必ずホワイトノイズを取り除くための数値を一緒にとるものです。選手じゃないいわゆる一般の人はどうなのか、というのを知るために、
・レースディレクター
・運営スタッフ
・取材バイクの関係者たち
も選手と同様のドーピング検査をしてみてもらいたいと思うことがよくあります。
彼らから一切の陽性が出なければ、それは素晴らしいこと(逆に言えば、選手が「なにか
」をしていたということ)だとは思いますが、よく知らないので根拠はないのですけど、きっと毎日のように色んな人が陽性になるんだろうなーと想像しています。 えっこんなので陽性になっちゃうの?みたいな意外性を感じる人が増えれば、また選手の「陽性」公表に対する目も変わってくるのではないでしょうか。
それにしても、ランスを支えていた人たちがそれこそ目の敵にされているかのように感じるのは考えすぎでしょうか。ヒンカピーも相当イヤガラセされているのではないかと推察しますが、実のところはどうなのでしょう。