理由は分からないけど、なんだか突然 LTOを触ってみたくなったので触ってみることにしました。
LTOと言っても色々ある
テープメディアなんて、PC-6001の保存媒体として使った後は、若かりし頃の仕事でDLTを使ったことがあるくらいです。DLTは大きめのプロジェクトで「バックアップ設計」を担当したときに触らせてもらったのでした。
今は「テープ」と言えば LTO というのが主流らしい(というところからのスタートです(笑))。LTOにも世代があって、2000年のLTO-1(100GB/200GB;サイズは非圧縮時/圧縮時。以下同じ)から始まり、2007年LTO-4(800GB/1.6TB)、2010年LTO-5(1.5TB/3.0TB)、2015年LTO-7(6.0TB/15TB)、そして現行最新の2021年LTO-9(18TB/45TB)があります。あります、って書いたけど今回調べていて知ったことなので「あるそうです」と書くべきかもしれませんが、まだるっこしいので今後も知ってたフリをするような書き方をします。
どれにしよう。LTO-5だ
どうせ試すなら、容量の大きいLTO-9にしたいものです。でもね、お財布事情ってものがあるのです。ぱっと検索したところ、ドライブ本体がだいたい100万円。保存メディア(テープ)も1本3万円くらいするらしい。ちょっと体験してみたいという理由でこれくらいポンと出せる身分になりたいところですが、私はまだまだです。
そんなわけで、最新を目指すのは諦めて、「ちょうどよいところ」を狙いに。 その結果「LTO-5」が私の用途にはピッタリとわかりました。非圧縮1.5TBでテープ3000円から5000円程度って、バックアップ用途なら、外付けHDD使ったほうが安上がりなんですけどね。今後LTO-7やLTO-8あたりのドライブが安く手に入るようになったときに乗換に行くための今回は準備のようなものと考えましょう。
今回用意したもの
今回用意したものの一覧です。お値段つき
No. | ブツ | 型番情報等詳細 | 取得情報 | 費用 | 備考 |
1 | PC本体 | Windows10が動作しているミニタワーPC | 家に転がっていたものを使用。メインPCは動かなくなると困るのでセカンドPCです。 | ¥0 | |
2 | LTO-5ドライブ | Fujitsu Ultrium LTO-5. AQ282P | ヤフオクでゲット。 | ¥6,600+送¥850だったが、久々ヤフオクでクーポンもらえたので ¥1,500引 | 中身はHPドライブ |
3 | SASカード | 9212-4i | Amazonにて。適当な"スマホケース"の段ボールに入って送られてきたので、廃棄機材から抜き取って適当に売ってるんだろうなと想像 | ¥5,043 | もう少し安いのもあるが今回のタイミングではこの値段 |
4 | SAS/SATA変換ケーブル(電源付) | cablecc SFF-8482 | Amazonにて | ¥1,289 | SASカードとLTOドライブを結ぶため |
5 | SATAケーブル | - | Amazonにて | ¥815 | SASカードと変換ケーブルとを結ぶため。家にも転がってる筈だけど探すの面倒なので購入 |
6 | LTO-5テープ | HP LTO5 Ultrium 3TB RW C7975A | Amazonにて | ¥25,300 | 安心して壊せるように多めに(5本セット)買ったけど、とりあえず遊ぶだけなら1本3000-5000円程度 |
7 | LTOクリーニングテープ | HP Ultriumドライブ用ユニバーサルクリーニングカートリッジ | Amazonにて | ¥6,910 | 世代ごとの製品と世代横断で使える"ユニバーサル"のがある。今後も使えるようにユニバーサルにした |
クリーニングテープは念のために買っておいたけど、今回は今のところ使う必要には当たっていない。
ということで、多めに買ったテープ代を除くとトータル 13,097円。今回ヤフオククーポンもらえたのが大きいですが、これにテープを1本だけ追加しても18,000円くらいと、十分に「興味を持ったのでやってみました」レベルで払える金額に収まりました。初めて扱う機器で動作保証がないのは、ブツが悪いのか自分の設定方法が悪いのか区別がつかないので怖いのですけどね。 でもそこは乗り越えます。ダメならダメだったという経験を得るために払うお金だと割り切って!(今回最終的にうまく行きました。ラッキー)
SASカードは、配送業者がAmazonではなく販売業者からになっていて、かつ、到着予定日が1週間とかもっと先になっているものは、海外発送(中国発送)の可能性が高いので、気にする方は注意を。今回「やや高め」で買ったのは、Amazon発送のものにしたからです(実は前者も発注したのですが、遅く、しかもすぐに発送はされてしまっていてキャンセルもできなかったので「追加で」発注したのでした。中国発送のものは、まだ手元に来ていません(もともと来週予定))
物理設置
今回購入したものたちが、こちら。テープ5本入りは箱から出して1本だけ載せています。
今回使うPC。色々ギッチリでその点苦労しました。
SASカードを挿し(挿す場所が空いてなかったのでこの機会に Sound Blasterを抜きました)、SATAケーブル、SATA/SAS変換ケーブル(電源も)、LTOドライブへと接続します。特に迷うところもなく、ごく自然に接続。ここまでは順調
電源オン!
電源を入れるとしばらくの動作音の後、Readyのランプが点灯します。ここでクリーニングが必要になるケースもあるようなので、まずはラッキー。
画面のほうには、SASのBIOSの表示のまま止まってしまいます。別のマシンで色々検索したりしているうちに(Enterキーくらいは押したかもしれないけどたぶん関係ない)、先に進みました。数分(5分とか10分とか)掛かっていたような気がします。寝起きの悪い子なのかもしれません。
ドライバの設定など
ここ、とても苦労しました。何度も行ったり来たりドライバを入れ替えたり再起動したり。なので一応文章にはまとめてみていますが、大事な記述が抜けているかもしれませんし、「無駄だ」と思った回り道(ここに書くのは省略している)が実は影響していたとかあるかもしれません。
SASカードの設定
デバイスマネージャで確認すると良い感じにSASカードが認識されています。しかし、SASに繋がっているテープドライブがデバイスマネージャー上には見当たりません(この時点では「テープ」であることはWindowsは知らないので「不明なデバイス」として認識されるはず)。
SASドライバの「イベント」を確認すると、要するに「動いていません」と訴えているように見えたので、まずはSASドライバの入れ替えに東奔西走。9260-8i だと思い込んでドライバを探したり入れたりしていたのですが、実は 9212-4i という型番だったと判明。これは一度カードを抜いてよく見たら、裏側がに書いてありました。設置前にオモテウラよく見る(そして写真を撮る)の大事です!
最終的に 1か2のどちらかを入れて、目的を達成できたように思います。ダウンロードのタイムスタンプを見ると 2 のほうが新しいので、こっちかな。BroadcomのサイトからDLしました。
https://www.broadcom.com/support/download-search
(1) 9211-8i_Package_P20_IR_IT_FW_BIOS_for_MSDOS_Windows.zip
(2) LSImpt_SAS_Windows_8-1_Windows_server_2012_R2_P20.zip
そんなごにょごにょをした結果、ようやくデバイスマネージャに「HP Ultrium 5-SCSI SCSI Sequential Device」が登場。アイコンにはまだ「?」マークがついています。
LTOドライバの設定1
次に、テープドライブの「?」を取る試みです。HPEの StoreOpen Software をインストールするようです。今回のバージョンは 3.5.0。
https://support.hpe.com/connect/s/softwaredetails?language=en_US&collectionId=MTX-882b042a6fc04042&softwareId=MTX_5d96a1ab949d415dab03d26ae1
しかし、デバイスマネージャの「?」は、とれません。
関連ツールは入るけど、ドライバが入るものじゃないっぽい?
LTOドライバの設定2
そんなわけでドライバを更新する作業を試みました。
「ドライバの更新」→「手動で検索してインストール」→「コンピュータ上の一覧から選択」→「テープドライブ」→「Hewlett Packard」→「HP Colorado T4000 tape drive」。T4000じゃないほうがいいんだけど、これしかなかったので「HPならいいでしょ」と雑に判断。
ちなみに一度「HP」の代わりに「LTO」ってのを選んでみたのだけど、結局HPのほうに戻しました。
無事「テープドライブ」として認識されるようになりました。名前が、他の方がアップしている画像を見ると「HP LTO Ultrium-5 drive」となるべきところ、今回の私の手順では「HP Ultrium 5-SCSI SCSI Sequential Device」のままでした。その後の簡単な動作確認では問題なく動作しているようなので、一旦これでヨシとします。たぶんドライバが違う。
テープの操作
テープのフォーマット
テープを入れて、フォーマットします。先ほどインストールしたHPEのツール群の中にある「LTFS Configuration」を起動します。
ちなみに、Configuration以外にこんなツール群がインストールされています。
ドライブレターを割り当てて(テープなのでTにしました)、Create Mapping をクリック。
フォーマットされてないんだけど、する?と聞かれるので、お願いする。
フォーマットツールが立ち上がるので、画面に従って進める。
なお、テープにつける名前(シリアルナンバー)は、6桁またはなし(空欄)である必要があります。今回は数字だけを指定したけどアルファベットも使用可。6桁に満たないと「6桁にしなさい」と言われます。
最終確認画面の後、フォーマットが実行されます。数分くらいかかったかな。
出力されるログ抜粋。 mkltafs というコマンドをこんなオプションで実行しますよ、と表示してくれるのが親切ですね。今後コマンドラインで実行するときに使えます。
LTFS15000I Starting mkltfs, HPE StoreOpen Software version 3.5.0, log level 2 LTFS15041I Launched by "mkltfs -f -s 000001 -d TAPE0" : LTFS15019I Volume capacity is 1335 GB LTFS20076I Triggering drive diagnostic dump LTFS20096I Diagnostic dump complete LTFS15024I Medium formatted successfully
capacity is 1335GBというところがちょっと気になりますね。1500~3000(圧縮時)使えると理解していたので、1335GBとは?という気分ではあります。
LTFSだと管理領域とか使ったりするから減るのかな(当てずっぽうに言っています)。
フォーマットが終わるとTドライブが出現しました。テープドライブというと、ある程度まとまった分量の情報を一気に書き出すもの、ひたすら追記をしていくもの、という印象がありますが、LTO-5から使用可能になったLTFSだと、普通のファイルシステムのように追加したり変更したりできます(既に書いたテープの部分を書き換えるわけではないので、書き換えが頻繁だとテープ1本あたりに使える容量は減ります)。Windowsのエクスプローラーから普通に見えるのが不思議な感覚。
テープにバックアップ!
手元(HDD上)にあった500GB程度の動画ファイルをコピーしてみました。GoProやドラレコなどで撮った動画が中心です。エクスプローラからドラッグ&ドロップするだけです。ゆくゆくはコマンドラインでこういうのを実行できるようになりたいところです。
完了までに3時間くらいかかりました(途中で離席したので実は終了を目では見ていないのですが)。
仕様上は非圧縮でえ 140MB/sec 程度出るはずなのですが、60MB/sec程度しか出ませんでした。理由は不明。コピー元のHDDは60MB/sで12%程度の使用率と示しています(タスクマネージャーより)。実際にドライブ間でファイルコピーをすると 125MB/sは出ているので、コピー元ファイルシステムのせいではないようです。
エクスプローラーだと余計なことをして遅くなるのかなぁ。コマンドラインだと速いのかなぁ。LTFSだとこんなものなのかなぁ、、、などと想像は膨らみます。いつか解決したい。
おわりに
こんな感じで、LTOを「ただ動かしてみたい」をきっかけとして「ただ動かしてみました」。テープを入れずに何も処理をしていない状態でもドライブ本体がかなり熱を持っていて少し不安です。こういうものなのか、何かがおかしくて発熱してしまっているのかの判断が(初めてなので)つかないのがもどかしいのですが、次回以降にまたテープドライブを設定することがあれば、その時に「前回もこうだったな」「前回と全然違うな」などと判断できることになるでしょう。
今後ですが、もう少しテープに対する操作を(GUIでもCUIでも)体験してみたいなと思っています。そして、ようやくセットアップできた環境ですが、次にまとまった時間が取れる時にはWindowsを潰してLinux Server機にする予定なので、その環境でのテープ利用設定などにもトライすることになるでしょう(サーバでのデータバックアップという意味で、そちらのほうが本命の「やってみたい」ことに近いです)。
やったことのないことをやってみるって、楽しいですね。久々に、「うまくいかない」をじっくりと解決しながらゴールにたどり着く楽しさを堪能しました。
参考にしたサイト
今回の設定中に、以下の2つのブログ記事を参考にさせていただきました。途中で何かがうまく行かないときの答え合わせというか、ベクトル合わせをする際に、とても心の支えになってくれました。どうもありがとうございます。
後日談
スペースをあけるために引っこ抜いたHDDのデータ保全など色々やることがあって暫く暫定接続のまま放置していたのですが、数日経ってようやくフタを閉じました。何事もないかのように当たり前にそこに居るテープドライブに萌えますね!