「フォントおじさん」関口氏のお話を聞いて俄然フォントに興味を持ってきた

 【フォントおじさん、関口浩之氏特別講座】 『フォントを学ぼう』2時間×3日間 という講座があり、気になったので参加してみました。私自身のスペックとしては、美的センスなし、デザインセンスなし、フォントには少し興味はあるけど真剣に接したことなし、という「音感はあるけどフォント感はない」の代表者みたいな感じです。
 そんな私が、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で、筑紫フォント*1の藤田氏を見て、そのこだわりと工夫苦労に感銘を受け、同時に「おもしろそうだな」と思ったのがきっかけとなり、その後の様々なご縁と経緯もあって、今回の勉強会に参加させていただいた次第*2
 この勉強会は、(株)メンバーズさんが開催する「Co-creation Digital Lab.(旧称 Members University)」という社内向け勉強会の席の一部を社外にも公開してくださっているもの。メンバーズさん、太っ腹! 3週間にわたる計3回の講座で、セミナー本体は勿論、会場設営/撤収やドアキーパーの皆さんに大変お世話になりました。すてきな体験をさせていただきました。

webfont.fontplus.jp

memuni.connpass.com


 ちなみに私の好きな、というか気になるひらがなは「ふ」。五十音の中で唯一、4つものパートにばらばらにされている字です。しかも、3つの点が真ん中を、ふにゃりを取り囲むように配置されていて、思わず「あんたら、なにしとるん?」と声をかけたくなりますよね。3つのパートからなる「た」「に」にはさほど興味をそそられないけれど、「な」は少し気になる。そのほか、「わ」と「ね」、「め」と「ぬ」など、最後まで見ないと何の字になるか分からない子たちにもぐっと心をつかまれます。
 そんな興味から、講座の最中にもいろいろなフォントを自分勝手に眺めたりしていました。「ふぬそ」とか、もうフォントそれぞれが個性的で個性的で、しかし似たものもあったりして、そのあたりがなかなか面白かったです。


 さて、講座の話。
関口さんのお話は、大きく2つの主題から成っていると理解しました。ひとつが「フォントそのものの魅力」について。もうひとつが「Webフォント」について。

フォントの魅力について

  • 500年前のグーデンベルグ活版印刷や、100年程前の写植(写真植字)
  • 街中にはフォントが溢れている。どんな印象を伝えたいのか、にとても影響する
  • 一方で、表現したいものにそぐわないフォント採用も見受けられる
  • 交通信号の「止まれ」の字に、どんな工夫があるか、ご存じ?
  • 今は、各社いろいろなフォントを開発し、提供している
  • フォントかるた、っていうオモチャもあるよ(つい買っちゃったw)


 フォントって私にとっては「ものすごく高いもの」というイメージがあったので、気になりながらもなかなか近寄れなかったのですが、今は各種ソフトへバンドルされていたり、使い放題サービス(サブスクリプション)があったりして、「テレビで見たあのフォント」「このチラシでいいなと思ったフォント」などを自分でも使える環境ができつつあるという印象を受けました。


Webフォントについて

  • Webブラウザで表示されるフォントは、OSによって異なる。見え方が違う
  • 7年ほど前に Webフォントのサービスを立ち上げ
  • 当時の回線速度、日本語の文字数の多さ、ブラウザ側対応状況などから「ムリ」と思われていた
  • 近年、WinXPIE 6,7,8 が(事実上)終了したことで、良い風向きに
  • Webフォントは、cssで指定したフォントを、フォントサービスサイトから取ってきて、ブラウザが表示してくれるもの。(ローカルにフォントがなくても良い!)
  • ブラウザの処理順の工夫やそのほか(詳細失念)色々速くなっている。リモートからフォントを取ってきていることをあまりユーザに意識させないレベル
  • 関口さんのところでは、FONTPLUS というサービスを提供している。
  • 今迄は「見せたい」デザインを実現するには、画像化するしかなかったが、Webフォントを使うことにより、テキスト編集で修正が可能になった。お手軽
  • 画像ではなくWebフォントを使うことで、文字を「選択してコピペ」できるようになった。地味だけど結構これがユーザビリティをアップしている


 Webフォントについて全然知らなかった私にとっては、ここまでリモートにあるフォントを都度取ってきて表示する事が違和感ないレベルで可能になっていたことに対する技術的な驚きと、それらが驚くほどリーズナブルな料金*3で利用できるようになっているという経済原理的な驚きの両方がありました。
 加えて、画面でみて「このフォントなんだろう?」と思ったときに、ブラウザの開発者機能を使って簡単にフォントを知ることができる、という事も、Webフォント利用への距離感をぐっと縮めてくれたように感じます。
 実際にWebフォントを使った様々なサイトを見てみると、おしゃれだったり、エレガントだったり、力強かったり、楽しげだったりなど、サイトをひと目見た瞬間の印象が、(システムフォントだけを使っている場合に比べて)とても良いですね。サイトの主張を感じるというか、ほかとはひと味違うぞ、という感じ。



 3日間お話を伺ってきて、フォントの「見るべきポイント」の一端を知ることができ、フォントへの関心が俄然上がってきました。色々なWebフォント提供サービスがありますが、今回関口さんのお話を聞かせていただいたご縁もあるので、FONTPLUSでちょっと遊んでみたいなと思っています*4。5000PVまで試せるトライアル版としての利用(最大6ヶ月内)もできるようで、早速アカウント登録しました。この日記もフォント変えてみようと一瞬思いましたが、あっという間にトライアル回数を使い切ってしまいそうなので、別のサイトで遊んでみることにしようと思います。5000PVぶんなら、2,3ヶ月は遊べるかな。それ以後も、月あたり1000円で利用できるのならば、自分の遊びのためだけでも十分出せる値段だと思います。この価格破壊感に吃驚なのです。


 それにしても、フォントが気になり始めると、世の中がうるさくなりますね(笑)。もちろん良い意味で、、、、なのかな、、、なののつもりで言っているのですが、見る文字見る文字が気になってしまう。まずは超入門者として、「ゴシックなのか明朝なのか」「ゴシックはカドが四角いのか丸いのか」「線はまっすぐなのかカーブしているのか」「点などはつながっているのか切り離しているのか」あたりを見て、へぇぇとひとりごちている程度ですが、関口さんも仰っていた「フォントソムリエ」のような視点として、「ここにはこんなフォントを使いたいな」などという感覚と持ち駒が少しずつ増えていったら楽しいだろうなと妄想してみています*5


 最後に、講座の中でも紹介された MdNの「絶対フォント感」の3回の記事。AmazonKindle unlimited に入っている人でしたら、ゼロ円で読めます。いつ終了するかも知れないのでご興味のある方はお早めのゲット(借り受け?)をお勧めします。私もゲットしたので、これから少しずつ眺めてみようと思います。
月刊MdN 2017年10月号(特集:絶対フォント感を身につける。[明朝体編])[雑誌] 月刊MdN 2015年 7月号(特集:絶対フォント感を身につける/付録小冊子 フォント見本帳)[雑誌] 月刊MdN 2016年11月号(特集:絶対フォント感を身につける。2)[雑誌] 月刊MdN 2014年 04月号(特集:タイポグラフィの現在/キルラキルの文字演出 ほか)


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*1:筑波山を見て育った私には「筑」は「つく」なのですが、九州の「筑」は「ちく」だと思い込んでいました。でもこれは「つくしふぉんと」と読むそうです

*2:博多座の前は時々通りますが、あのエリアでこんなフォントが作られていたなんて、全然知りませんでした

*3:無料のものもある

*4:https://webfont.fontplus.jp/

*5:とりあえず「マティス」は覚えた!マティスのどれだったかはよく分かっていないけどw