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ウェブ大変化〜パワーシフトの始まり〜

ウェブ大変化 パワーシフトの始まり~クラウドだけでは語れない来たるべき未来 (KINDAI E&S BOOK)

ウェブ大変化 パワーシフトの始まり~クラウドだけでは語れない来たるべき未来 (KINDAI E&S BOOK)



 楽天技術研究所の森さんの著作。縦書きだよ〜、単著だよ〜。羨ましいです。


 森さんというと私の中では、口を開けばawkの良さを語り尽くし、気が向くと哲学な知識を披露し、興が乗ってくると本書でも紹介されている「サードリアリティ」を中心とした近未来への想像を語り尽くす、そんなイメージがあります。


 本書でもその森さんの知識の広さとお人柄を存分に感じることができました。単に「こうなんだよ、知ってる?」と言うだけでなく、そのひとつひとつに深い愛情が感じられるのです。伝えたいことがしっかりとあり、それを正しく伝わるようにするために、様々な例を用いてあの手この手を工夫している。そんな印象です。


 内容としては、IT業界に身を置き、梅田氏の「Web進化論」を読んだことがある人にとって、本書の大部分は既に知っていることだと思います。それでも本書によって、今まで脳内で散らばっていた知識の断片がひとつにまとまり、他の人に説明できるようになるかもしれません。知っていることだからこそ、読みながら様々に考えを巡らすゆとりを持つことができるので、何か新しい発想につながるかもしれません。


 そんなわけで、「今起きていること」 と 「これから向かっていく方向」 について整理をしたい人にもお勧めしたい1冊です。


 ところで森さんがしばしば口にされる「サードリアリティ」。これは、第1の現実(いわゆる普通の現実)、第2の現実(仮想現実=バーチャルリアリティ)の次に来つつある第3の現実のことですが、どうも私はこのキーワードに少なからぬ違和感を感じています。 第1から第2への変化はまったく新しいものでした。第2の現実は第1の現実を模倣し再現することに注力していましたが、当初はほとんど重なり合うことのない謂わば「別世界」の現実でした。それが、第2の現実の研究(技術的のみならず利用方法に対する研究も)が進み、重なり合いが出てきた。その部分がいわゆる「サードリアリティ」なのではないかと考えています(違っていたらすいません。今度お会いするときにでも詳しく教えてください!)。つまり、第1から第2への変化のように「第3の」新しいものが産まれたわけではなく、単に第1と第2の「融合」が今後進むというビジョンだと捉えています。 2枚の絵だったのが、お絵かきソフトに「レイヤ」という概念が加わって重なり合うようになった、そんな感じかなぁ。 仮想現実の「仮想」の部分を置き換える熟語が欲しいですね。


 ところで第1の現実は2進数2桁では 01。 第2の現実は 10。 これらを合わせると 11 ということで「3」。 なるほど! 第3の現実とはそういう真意だったのか!実にIT業界的。 恐れ入りました。


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