とほほさんにあえてうふふ

2024年2月に参加した YAPC::Hiroshimaで、「あの」とほほさんの講演を聴き、懇親会でお話をする機会を得ました。YAPC参加ブログの中の一部として埋もれさせるには惜しい程の得がたい体験だったので、本エントリに切り出して書く次第。
YAPC::Hiroshima 2024 の参加については以下のエントリにて:
sakaik.hateblo.jp

そんなにすごい人だったの?

 htmlのタグ名、cssの書き方、その他各種言語の基本構文や関数などを検索すると、大概「とほほのWWW入門」に行き当たります。簡潔に、しかし幅広い分野に亘って充実した解説には、何度も助けられました。他の情報源に当たっていたら数時間は解決しなかったであろうものが、とほほさんのサイトで3分で済んだ、みたいな感じ。 辞書のように安定した情報は、さながら「ひとりWikipedia」のようでした。
 技術情報を検索すれば余りに当たり前のように「そこにある」ものだったので、いつのまにか都度感謝をすることを忘れてしまったくらいに生活の中にあるものだったのですが、今回の講演を聞き、お話をする機会を得て、「自分はこんなにも感謝をしていたのか!」ということを認識できて、寧ろ自分でも驚いたくらいです。
 YAPC::Hiroshimaの会場でも、ある程度年齢の行った技術者が軒並み感動していて、その時代をともに歩んで来たわけではないのでそこまでピンと来てはいない若い人たちが「自分の尊敬する先輩がこんなに感動しているなんて!」と感動している「感動の連鎖」を目にしたりして、「若い人たちにこの感動が伝わっているなんて!」と私も更に感動の連鎖に飲み込まれたのでありました。

実在の人として認識したのは5年ほど前

 そんな当たり前に存在した「とほほのWWW入門」ですが、あまり人物感がないというか、「未来から来た自動生成プログラムが、情報をぽんと置いていったんだよ」というまるでサトシナカモトみたいな話があっても信じちゃうくらい、サイト作成者については謎に包まれていました。講演に出てくるわけでもなければ、IT系の交流系イベントでお会いするわけでもない。充実したサイトだけが「そこにある」という、不思議な状態が続いていました。
 この状態に終止符を打ったのが5年ほど前(2017年)。突然、お写真付きでインタビュー記事が公開されました。今は無き HRナビですが現在は以下のサイトで閲覧することができます。
project.gotanda-valley.com

 びっくりしましたね。お姿を拝見できる方だと思ってもいなかったので、当時、何度も何度も読んじゃったことを記憶しています。

講演を聴いて

 ご自身がやってきたことを中心にお話をしてくださいました。コンピュータとの出会い、アイコン重要、同名ハンドルの方との混同による死亡説騒動、シンプルな記述に気を配っていること、IT以外の「とほほ入門」のこと。 
私は結構、人の話を聞いていると途中で飽きちゃうほうなのですが、とほほさんのお話は最後まで引き込まれたままであっという間の時間でした。40-50分くらいでした?
 

懇親会にて

 とほほさんも懇親会に参加されるということで(しかも私は参加できなかったんですが二次会までお付き合いいただいたそうで)、これはぜひともお話しなければ!と意気込んでいたのですが、最初は「そこに "動くとほほさん" がいる」という状態が不思議で不思議で、声をかけられませんでした。これではいかん、と宴も半ばにさしかかった頃、とほほさんの近くのテーブルで他の方とお話しながらスタンバイ。どんな有名な人でも、パーティー全体の中では突然ひとりになる瞬間というものがあるのです。いや別に盛り上がっている輪の中に入っていっても良いのですが、今回はなんとなく一人になった瞬間を狙いたかった気分で(笑)。
 少しすると狙い通りとなったので、ご挨拶に。 昔のテープにセーブしていた頃の話(ピー・ガッガーの話)から、フロッピーディスク談義(私は部品点数も多く分厚い3.5インチは受け入れられずに、薄い5インチのほうが残ると思っていたのですが、とほほさんは 3.5インチが残るとお考えだった、みたいな話とか)、アウトプットするということについて(講演で語られたお話をさらにもう少し)、いろいろお話させていただきました。お話していて改めて分かったのは、とにかく好奇心の塊ということ。 自分の生活や仕事の中で触れた情報をまとめているだけでなく、「なんかネタがあったら教えて!」と、むしろネタを探しに行く姿勢からも、そのように感じました。 みんなとの写真撮影にも気さくに応じてくれたりして、なんだか昔から一緒にコミュニティ活動していた仲間であるかのような錯覚をしてしまったくらい、とてもフレンドリーに接してくださいました。基本的に今回 YAPC::Hiroshimaに参加していた人たちの多くは、とほほさんに対して大スターに接するかのような思いがあったと思うのですが、そんな中にいても極めて自然に振る舞っていて、格好良いなぁと思いました。

 そう。格好良い。文字にしちゃうと陳腐な感じがするのだけど、本当にこれ以外の言葉を当てはめることができない感覚(言葉にすると全部違う気がしてしまう)で、懇親会後に新幹線に乗って福山まで移動して、福山のホテルの窓からライトアップされた福山城を眺めながら「格好良かったなぁ・・・・」と嘆息していたくらいには、ずっとシビれておりました。 お会いできて良かった! また色々な場に出てきていただいて、またお会いしたいものです。

短距離走

 とほほさんとお話をしていて、僭越ながら(勿論厚みも幅も継続性も全然レベルが違うことは承知の上で)自分と考え方が似ている部分があるなぁと感じました。
何かの情報に触れた時に、その周辺情報を含めたある程度のカタマリについて一式を知りたいと思うこと。知ったことを整理してみたいと思うこと。知って面白い内容だったので人に聞いてもらいたい(伝えたい)と思ってしまうこと。結果として(自分も忘れるので)その書き残したことが後の自分にも意外と役に立つこと。
 興味関心のターゲットは、「ある程度のカタマリ」の範囲を(自分ルールで良いので)決められるものであること。どこまでやってもキリがないものではなく、コンプリート可能なものであることが重要です。その道が長いか短いかはそれぞれなので、必ずしも短距離とは言えないのですが、コンプに向かって突っ走る感覚から、私はこれを「短距離走」と呼んでいます。この「短距離走」がお好きなのかなと感じました。 少し大げさな言い方をすると、ひとつのロールモデルに出会えたような気分でした。いいんだ、これで、って。

 ご本人がこれを読まれたら「ぜんぜん違うよ」とお笑いになるかもしれませんが(笑)。

Now

 会から2週間も経ってこの文章を書いていますが(逆に、まだ2週間しか経っていないのかという気分もあります)、思い出しながら、素敵な方とお話できたなぁとニヤニヤしてしまっています(笑)。お話楽しかったです。うふふ。