- 作者: 太田肇
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/02/13
- メディア: 新書
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まえがきによると、今までの氏の本は承認欲求の理論的なものかあるいはどちらかというと認める側から書いたものだったが本書では初めて「認められる側」からの視点で書いたとのこと。 新しい視点が得られるかと期待していたが結果から言うとあまりこの言は真に受けない方が良いと思います。結局「承認」とは、承認する側と承認される側の相互の関係のよって初めて成り立つものですから、一方の立場のみを取りだして語ることは意味が半減してしまうと言えるでしょう。 当初私も「承認される側、、される側、、、」と頭の片隅に置きながら読み進めたものの何か違和感があり、一旦すべてクリアして読み直したのでした。 読んでいるうちに結果として「あぁ承認される側のことがよく書いてあるな」と思えるような、そういう読み方が向いている本だと感じました。
前半は理論編。電車の中でいくらページをめくっても全然頭の中に入ってこずに困惑したが、これはきっと他の本により自分にとって既知となっている事の焼き直しの意味合いが強かったせいかと理解しています。本書のメインは後半の実践編。様々な事例を元に、ゼロサムではない Win-Win な承認関係について述べています。
でも率直に言って、これまでの本に比べて事例紹介が中心になっていてパンチが効いていなかったかなという印象を持ちました。本質的な部分はそれほど難しいものではないので、何冊も書いているうちに書き尽くしてしまうのだろうなと思いますが。 その際に個別事例などの「裾野」側に話題を広げるのも一つの手ですが、私としては更なる「本質」を極める側に展開していただきたいと願うのであります。
余談ながらこれまでの太田さんの本を知人に貸したところ非常に気に入ってくれて「太田さんに会いたい」と言い出しました(笑)。私も漠然とながら「同じような事を考えているのだから、きっといつか会うだろう」という思いはあったのですが、彼のその言葉を聞いて、ワンランクアップの「会ってみたい!」になってきました。幸い太田さんのサイトにも「なるべく会うよ」という趣旨のことが書かれていたし。 ということでまだ「機会があったら」という枕詞付きですが、お会いする機会があるような気がしています。その節には若造ですけどどうぞよろしくお願いいたします。
日本語を読めるひとが周りからどんどんいなくなってきていることもあって本を他人と貸し借りする機会はほとんどないのですが、やはり同じ本を読んだ人と感想交換できるっていいなぁ、と彼に刺激をもらって改めて思ったのでした。
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