高橋信頼さんを悼む

 日経BP社の高橋信頼さんが、12月26日、長い眠りにつかれました。
ITPro で、精力的にオープンソースの世界を取り上げてくださり、行くイベントごとに頻繁にお会いしていました。私自身が取材されたことがあるわけではなく、会ってもご挨拶程度だったのですが、オープンソースソフトウェアのコミュニティを単なる「取材対象」として扱っているのではなく、ご自身も一緒に楽しむ「仲間」として参加してくださっていて親しみを感じていました。いつも楽しそうにしていました。
 印象に残っているのが、2008年の島根大学での講義です。
ご縁があって私もこの講義を聴講する幸を得ました。高橋さんのお話は、立板に水ではありませんが、質疑に至るまで、ひとつひとつ丁寧に、ご自身の知識と経験の中から、学生さんたちに一番伝わるであろう言葉を探しながらお話をされていたように感じました。
この内容は、高橋さん自身の手で ITPro で記事にされ(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080526/304047/)、普段はひとのことを書く高橋さんが、自分自身を語る記事に、当時たいへん興奮したことを覚えています。


 昨日27日に、お通夜に参列致しました。
出版業界とIT業界の、「仲間」たちがたくさん集まりました。いかほど皆に愛されていたかがわかります。みんな高橋さんへの感謝があり、多くの思い出をお持ちのようでした。口を揃えて言うのは「高橋さんを悪く言う人には会ったことがない」。私もまさに同感です。
お寝顔は、変な言い方かもしれませんが、本当に落ち着いた感じで、まるで寝ながら次の記事のアイデアを考えているかのようでもありました。

 鋭い洞察と、初心者にも分かるようなざっくりと適切な切り口での記事。「伝える」ということを自分のテーマにしている身として、高橋さんの超一流の「伝えるワザ」は、自分にとって尊敬の対象であり、そして憧れでもあったのかな、と気づかされました。

 「文章で伝える」プロだった高橋さんに、私も稚拙ながらも精一杯の文章でお礼の気持ちを捧げたいと思います。
安らかにお休みください。ありがとうございました。