登記所備付地図の「くりぬき」ポリゴンの例

 登記所備付地図XMLデータでのポリゴンに関して、「くりぬき」データの構造について説明します。

土地(筆)の範囲の情報はポリゴン

 筆の形、範囲、大きさの情報(境界線と言います)はポリゴンで表されます。四角形の土地なら4つの点を結ぶエリア、三角形の土地なら3つの点というように。実際はもっと複雑な形をした土地も多いので、5個以上、場合によっては数十個の点を結んで形が決められるものもあります。

くりぬきとは

 筆は必ずしも、きれいに囲まれたエリアだけではありません。南アフリカの地図を描くときにレソトをくり抜くような、喩えて言えばドーナツのような、くりぬきが必要な筆もあります。

実際のくりぬきデータ

 と言いつつ、実のところ私はまだ(家を建てたりする土地という観点での)くりぬきのデータを発見できてはいないのですが(「線を消す」という技法があり、それで対応しているものが多いそうです。私はまだ理解が追いついていません)、道路のデータを表現するためにくりぬきのデータを発見したので、このブログで紹介する次第です。

 例えばこの道路。黄色で囲われた部分がひとつの筆になっています(道路にも筆が定義され、地番が振られています)。この「円」の字の上に更に「口」をつけたような黄色い部分全部が「日野市万願寺2丁目43-1」という地番です。
 この形を「単に囲うだけ」のポリゴンで表現することはできません。必ず3カ所の「くりぬき」が必要になります。

 実際の地図XMLデータはこのようになっています(一部折りたたんでいます)。


 外側の境界線を示す「exterior」とは別に「interior」の情報が3つあることがわかります。3カ所のくりぬきに対応しています。


 もうひとつ、印西市西の原3丁目16-2という地番が与えられた筆を見てみましょう。

 ここ数十年の間に開発された住宅地でしょうか。道路を表すのに、口の中を口でくりぬくようなポリゴンが記述されています。住宅街の中を走る道も、コの字型で1つの地番になっていたり、-の形でひとつだったり、住んでいると地番(筆)がどこで切られているかなんて意識したことがないと思いますが、見てみると面白いものだと思います。

その他のくりぬきの例

 東京都と千葉県のくりぬきポリゴンの一覧を作成しました。私がいくつか見たところではすべて上で紹介したような道路の定義でしたが、何か面白いものが埋まっているかもしれません。ご興味の方はご覧になって、何かみつけたらぜひ発表してください。
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