MySQLの ST_SRS の件数が環境によって異なる件

 MySQLGIS 機能で使用する INFORMATION_SCHEMA の ST_SPATIAL_REFERENCE_SYSTEMS テーブル(ビュー)の件数が、環境によって異なることがわかりました。
 先日の、ClubMySQL #4 の発表中に「ものすごくたくさんの定義があるんですよ」と話したことから、何人かの方が早速手元の MySQL 8.0 で 同テーブルの COUNT(*) を取ってくれたのですが、人によって、

mysql> select count(*) FROM ST_SPATIAL_REFERENCE_SYSTEMS;
+----------+
| count(*) |
+----------+
|     5108 |
+----------+

だったり、

mysql> select count(*) FROM ST_SPATIAL_REFERENCE_SYSTEMS;
+----------+
| count(*) |
+----------+
|     5152 |
+----------+

だったり。


当初は、
 MySQL 8.0.11: 5108件
 MySQL 8.0.12: 5152件 
なのだろう、と軽く考えていたのですが、家に帰ってから自分の環境で確認してみたところ、MySQL 8.0.12 なのに 5108件しかありませんでした。

 そんなわけで、OSやインストール方法などにより異なるのではないかとの仮説を立てて、いくつか試したところ、まぁたぶんこうかな、という仮結論に達したので、本エントリに。

 確認したのは、WindowsMySQL Installer / Linux のバイナリインストール/同 yum インストール。

結論として、各バージョンを素の状態でインストールした場合は、
 MySQL 8.0.11: 5108件
 MySQL 8.0.12: 5152件 
ということで、間違いなさそう。

MySQL 8.0.12 なのに 5152件しかない事象は、yum で 8.0.11 をインストールした環境で、 yum update により 8.012 に上げたケース。update後に手動で動かすべきスクリプトがあるのかな、とマニュアルを軽く探してみましたが、そういう記述も見つからず、もしかして bugs 報告相当の事象?とも思ったのですが、ちょっと自信がありません。
 他のパッケージ管理システムの場合だとどうなんですかね。aptとかsuseとか。どなたか試してみていただけませんか。8.0.11を入れてから update する、という流れで、前後の ST_SPATIAL_REFERENCE_SYSTEMS の件数を確認すれば良いです。
 ちなみに、手元のWindowsMySQL Installer で 8.0.11 を入れてあった環境を、同じく MySQL Installer で最新化して 8.0.12 にしたものだったと記憶しているので、こちらが 5152件だったというのは、WIndows版のアップデートでは ST_SRSテーブルの件数を最新化する仕組みがちゃんと入っているってことなんですよね。


 ちなみに、増えた44個は、こんな感じ。GEOGCSが4つと、あとは投影座標系(PROJCS)ですね。

| VN-2000 / TM-3 zone 481                   |   5896 |
| VN-2000 / TM-3 zone 482                   |   5897 |
| VN-2000 / TM-3 zone 491                   |   5898 |
| VN-2000 / TM-3 Da Nang zone               |   5899 |
| S-JTSK [JTSK03]                           |   8351 |(GEOGCS)
| S-JTSK [JTSK03] / Krovak                  |   8352 |
| S-JTSK [JTSK03] / Krovak East North       |   8353 |
| NAD83 / NCRS Las Vegas (m)                |   8379 |
| NAD83 / NCRS Las Vegas (ftUS)             |   8380 |
| NAD83 / NCRS Las Vegas high (m)           |   8381 |
| NAD83 / NCRS Las Vegas high (ftUS)        |   8382 |
| NAD83(2011) / NCRS Las Vegas (m)          |   8383 |
| NAD83(2011) / NCRS Las Vegas (ftUS)       |   8384 |
| NAD83(2011) / NCRS Las Vegas high (m)     |   8385 |
| NAD83(2011) / NCRS Las Vegas high (ftUS)  |   8387 |
| GDA94 / WEIPA94                           |   8391 |
| ETRS89 / Gauss-Kruger CM 9E               |   8395 |
| Hong Kong Geodetic CS                     |   8427 |(GEOGCS)
| Macao 1920                                |   8428 |(GEOGCS)
| Macao 2008                                |   8431 |(GEOGCS)
| Macao 1920 / Macao Grid                   |   8433 |
| Tananarive / Laborde Grid                 |   8441 |
| RGTAAF07 / UTM zone 53S                   |   8455 |
| RGTAAF07 / UTM zone 54S                   |   8456 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 1               |   8518 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 2               |   8519 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 3               |   8520 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 4               |   8521 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 5               |   8522 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 6               |   8523 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 7               |   8524 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 8               |   8525 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 9               |   8526 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 10              |   8527 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 11              |   8528 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 12              |   8529 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 13              |   8531 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 14              |   8533 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 15              |   8534 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 16              |   8535 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 17              |   8536 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 18              |   8538 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 19              |   8539 |
| NAD83(2011) / KS RCS zone 20              |   8540 |

インストールメモ:

# yum install wget -y
# wget https://dev.mysql.com/get/mysql80-community-release-el7-1.noarch.rpm
# yum localinstall mysql80-community-release-el7-1.noarch.rpm -y
# yum install mysql-server -y

# systemctl start mysqld
# cat /var/log/mysqld.log | grep password
$ mysql -uroot -p
--
mysql> ALTER USER root@localhost IDENTIFIED BY 'MySQL8.0';
--
旧バージョンを入れるときは
# yum install mysql-community-server-8.0.11-1.el7
(以前に他のバージョンが入っていた場合はデータディレクトリを削除しておく)


追記
 @RKajiyama さんから、「mysql_upgrade を実行したらどうだ?」という情報をいただきました。

 試してみたところ、5152件と正しい件数になりました。
yumで 8.0.11 をインストール → 件数確認 → yum update で 8.0.12 に上げる → 件数確認 → mysql_upgrade を実行 → 件数確認)
あとは、これを手動でやるのが「正しい手順」なのか、本来ならこれが yum update 時に自動で実行されているべきなのか、という点ですね。

 以下参考までに実行記録:

MySQL 8.0.11のインストール@awsの t2.micro

sudo yum -y remove mariadb-libs
yum install wget -y
wget https://dev.mysql.com/get/mysql80-community-release-el7-1.noarch.rpm
yum localinstall mysql80-community-release-el7-1.noarch.rpm -y
yum install mysql-community-server-8.0.11-1.el7 -y

systemctl start mysqld
cat /var/log/mysqld.log | grep password

mysql -uroot -p
--
mysql> ALTER USER root@localhost IDENTIFIED BY 'MySQL8.0';
mysql> use INFORMATION_SCHEMA
mysql> SELECT COUNT(*) FROM ST_SPATIAL_REFERENCE_SYSTEMS;
+----------+
| COUNT(*) |
+----------+
|     5108 |
+----------+


yumでの 8.0.12へのアップデート:

yum update mysql-server
(略)
+----------+
| COUNT(*) |
+----------+
|     5108 |
+----------+

mysql_upgrade 実行

# /bin/mysql_upgrade -uroot -p
Enter password: 
Checking if update is needed.
Checking server version.
Running queries to upgrade MySQL server.
Upgrading system table data.
Checking system database.
mysql.columns_priv                                 OK
mysql.component                                    OK
mysql.db                                           OK
mysql.default_roles                                OK
mysql.engine_cost                                  OK
mysql.func                                         OK
mysql.general_log                                  OK
mysql.global_grants                                OK
mysql.gtid_executed                                OK
mysql.help_category                                OK
mysql.help_keyword                                 OK
mysql.help_relation                                OK
mysql.help_topic                                   OK
mysql.innodb_index_stats                           OK
mysql.innodb_table_stats                           OK
mysql.password_history                             OK
mysql.plugin                                       OK
mysql.procs_priv                                   OK
mysql.proxies_priv                                 OK
mysql.role_edges                                   OK
mysql.server_cost                                  OK
mysql.servers                                      OK
mysql.slave_master_info                            OK
mysql.slave_relay_log_info                         OK
mysql.slave_worker_info                            OK
mysql.slow_log                                     OK
mysql.tables_priv                                  OK
mysql.time_zone                                    OK
mysql.time_zone_leap_second                        OK
mysql.time_zone_name                               OK
mysql.time_zone_transition                         OK
mysql.time_zone_transition_type                    OK
mysql.user                                         OK
The sys schema is already up to date (version 2.0.0).
Checking databases.
sys.sys_config                                     OK
Upgrade process completed successfully.
Checking if update is needed.
(略)
+----------+
| count(*) |
+----------+
|     5152 |
+----------+


追記yum update で MySQL サーバが再起動された後、手動で mysql_upgrade を実行する必要があるようです。(8.0.12時点)


https://dev.mysql.com/doc/refman/8.0/en/updating-yum-repo.html

ClubMySQL #4 で『周辺知識から理解するMySQL の GIS機能』の話をしました

 第4回目となる ClubMySQL にて、『周辺知識から理解するMySQLGIS機能』と題したお話をさせていただきました。
ClubMySQLは、ひとりの話をじっくりと聞くというコンセプトで開催している、セミナー形式のイベントです。ひとり30分程度までの持ち時間で何人かの話を順に聞くスタイルの勉強会に参加/開催 してきた中で、「もっとたっぷり時間を使ってじっくりと聞かせてもらいたいなぁ」と思うことがあったことから、このスタイルでの開催をはじめたので、もともとは当然、自分以外のいろんな人にお話をしてもらうつもりでしたから、まさか自分で話す機会が来るとは思ってもいませんでした。まさに自作自演の回。

clubmysql.connpass.com


 この1年ほど、MySQL 8.0 で本気を出されたGIS機能について、大変興味を持ってきました。興味の方向がナナメ上のほうに行ってしまうクセのある私は、緯度・経度に関連して測量や三角点に興味を持ったり、地球の形に興味を持ったり、伊能忠敬の記念館に足を運んだり、何故か江戸の古地図を買ってしまったり等、全然MySQLのコマンドをたたくところに戻ってこられなくて困ってしまいましたが、まぁ基本的にDBMSの仕事としては究極的には「値を登録できます。取り出せます」というだけの話ですので、その値がどのような意味を持っているのか、どのような使われ方をするのか、という点を理解することは、よりよくDBMSを利用するために必要不可欠な知識であると思っています。

 という言い訳を用意して、興味全開でこの一年で得た理解、知識、体験を全部吐き出す機会がほしくなり、自分の主催イベントで、自分でしゃべらせていただくことにしました。今回話した内容は、今でこそ多くのMySQLユーザにとって目新しく新鮮なものですが、一年後には誰もが知っている「あたりまえ」の事になっていてほしい、今回はそんな思いで挑みました。

 うまく伝わった手応えを感じた部分、上手に説明できなくて申し訳なく思う部分、いろいろありましたが、「第一歩」としての情報提供という意味では、少しはお役に立てたかなという気はしています。色々な技術を習得されてきた皆さんならお気づきのことと思いますが、さらっと当然のように説明した部分にも、その理解に至るまでに相当の苦難(笑)を乗り越えて得たものもあります。皆さんには、その部分はさらっと乗り越えていただき、その先にあるもっと面白い部分をぜひ、試していただいて、わたしにも教えてください。なんたって、今回の講演のテーマが「詳しい人が増えて俺に教えてくれる」ですから!




 最近のこういったイベントでの私のセミナーは、資料を簡略化する向きなのですが、今回は資料そのものを残すことを大きな目的のひとつとして、結構頑張って作り込みました。当日発表したものに、少々の修正と、いくつかの説明や情報を加えたものを公開したので、ご覧ください。私の勘違いも多く含まれているかと思います。お気づきの点があれば、ご自身のブログやその他の方法でご指摘、ご説明賜れましたら幸いです。

www.slideshare.net


 話をしていて、とにもかくにも楽しかったです。お聞きくださった皆さん、どうもありがとうございました。伝えたいことが多すぎて、話題があちこち行きましたが、位置の情報を扱うことの楽しさが伝わったらいいなぁ。私自身もまだまだ「楽しそう」というところまでなので、「本当に使ってみて楽しい」のステージへ、はやく行きたいものです。
 会場を提供くださった Yahoo! Japan さま、どうもありがとうございました。ゆったりと素敵な空間でした。イベントでなくても、普通に LODGE も利用させていただきたいな、と感じました。
 ClubMySQL、次回開催は未定ですが、また(私以外のスピーカーで)開催を続けたいと考えています。開催案内が目にとまったとき、ご興味のあるテーマでしたらぜひまたご参加ください。


 講演の中で「みんなもどんどん試して、どんどん情報発信(交換)しましょう」と呼びかけたところ、当日会場から質問もあった内容について、@atsuizo さんが早速、MySQL Workbench での GIS 情報の動作(表示)について試して、ブログを書いてくださいました。嬉しい!ありがとうございます!私も試す!
atsuizo.hatenadiary.jp

id:next4us-ti さんも早速 Workbench 試してくださいました!
next4us-ti.hatenablog.com

id:hmatsu47 さんが、とぅぎゃってくださいました!
togetter.com

id:hmatsu47 さんによる今回のイベントのまとめ:
hmatsu47.hatenablog.com
→一点私の説明不足があってですね。「子午線」自体は、子と午を結ぶ線なので無限にあるんです。グリニッジとかパリとかボゴタとか話したのは「本初子午線」といって「ゼロ度をどこに定めますか」というお話でした。

id:dupont_kedama さんは、公開されている位置情報データをMySQLに取り込む方法について:
dupont.hatenablog.jp


 楽しんで開催して、楽しんでしゃべってきたつもりだったのですが、やはり何かと緊張したりドタバタしたりしていたようで、あろうことか、今回の会に関する写真を一切撮っていませんでした(^^; 代わりに手持ちの本(未読のものもあり)でも。
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 そうそう。紹介しようと思っていて忘れていた本をひとつ。剱岳という難所に三角点を設置せよ、と命じられた主人公が苦労を重ねてなんとかたどり着くというお話。三角点の選点、設置、そして測量に至るまで、どのような苦労があるのか。ぐいぐい引き込まれました。

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫)

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫)

伊能忠敬記念館@さわら に行ってきた

 8月のとある日*1、一日結構自由になる日ができたので、千葉県は さわら にあります「伊能忠敬記念館」へと足を運んでみました。

伊能忠敬記念館:香取市ウェブサイト:香取市観光サイト

 MySQL 8.0 でGIS機能に本気を出したように見えたことをきっかけとして、位置を特定する方法、そして位置の集合体である地図や測量が気になってしまい、今回の訪問と相成った次第。県内にあるので比較的行きやすいだろうと思いながらも、なかなか機会のなかった伊能忠敬記念館。行こうと思って調べたら、念頭にあったものよりも少し遠かったです。というのも、、えぇと佐原のみなさんすいません、佐倉のあたりだと思い込んでいたのです。なんとなく「さ○ら だったよなぁ」くらいの記憶で。でも今回ちゃんと覚えた!
 我孫子からは車で1時間強。まぁ1時間半見ておくとゆとりを持てます。

 駐車場に車を停めて記念館に向かうと、まず一等水準点がお出迎え。あっ、忠敬先生がお出迎えというべきところでしょうか。でも私の目には、こちらしか目に入りません。ほら、マチナカ歩いていて飲食店がたくさんあってもラーメン屋さんしか目に入らないじゃないですか。あれみたいなものだと思います。ちなみにこの水準点、平成14年に移設されてきたものなので、それほど歴史的なすごさがあるわけではないです。あと、一等三角点(約40kmごと)と異なり、一等水準点はたくさん(約2kmごと)ありますので、まぁそういうものです。
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 忠敬記念館入り口。500円を払って入館します。
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 展示場内は写真撮影禁止なのは残念でした。いろいろ思い出に撮って持ち帰りたい物があったのですが。
なのでここからしばらくは、言葉のみで。

 展示場は、大きめの空間がひとつと、小部屋がひとつ。天井は結構高くて、大きな地図が壁に掛けてあるのを見ることができました。どれがホンモノでどれがレプリカなのかがよくわからなかったので、「二分の一に縮尺しています」的な説明があるものを除いてぜんぶホンモノだと思って眺めてきましたが、とにかく素晴らしい。展示は「歴史・背景」「道具」「成果」の3つに大きく分けられると言ってよいかと思います。
 最初に私の目を惹いたのは、忠敬が家から職場までの距離を測った図。何度も角を曲がりながらそれぞれの距離を計測し、その直線距離を求めた、あれです。想像していた以上に細かく曲がりくねった道のりで、かつ、繊細に書き入れられた文字を眺めながら、思わずため息が漏れました。職場から離れた方角に向かってもうひとつのループを描いており、それが補正なのかなと妄想したりして。たぶん、この1枚の前で5分くらい滞在(笑)。

 実物を目にする利点は、その大きさや質感を感じられること。道具にしても成果地図にしても、かなり大きく、かなり繊細。何枚にも分かれた地図のつなぎ部分の工夫も面白い。割り印のようなコンパスローズ柄が合うようにつなげるのですが、必ずしも縦方向だけ、横方向だけ、ではなく、紙にスリットを入れることで少し重ね合わせて縦横で合致させられるように工夫してあるのです。
 半円方位盤やわんか羅針などは、方位磁石で北をとりながら、スリットを覗いて遠点の方角を読み取るものなのですが、このスリットの感覚などは、実物を見ることでようやくイメージが自分の中にしっかりできると言って良いでしょう。

 そんなこんなで、決して広い記念館ではないのですが、見学時間は通常20分~30分程度と言われている中で、たっぷり1時間以上かけて見学してきました。とにかく、興奮しっぱなしです。

 記念館を出て少しのところに、伊能忠敬が育った家があります。
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 敷地内の建物。これが以前は記念館だったらしく、少し前までまだ看板がかかっていたそうなのですが、さすがに2018年。もう看板は外されていました。
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 その後は、せっかく来たので、さわらの町歩きをしばらく。ゆったりしたとても良い雰囲気の町でした。こちらについては別日記のほうにまた書きたいと思います。
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*1:と言いつつ、この日記の便宜上の日付がその「とある日」だったりしますが

FOSS4G TOKAI 2018 に行ってきた話

 FOSS4G TOKAI 2018 に行ってきました。MySQL 8.0 でのGIS機能に興味を持ったことが高じて、週末にまったくアウェイの環境に行くなんて、どうかしている。
 地図を作っている人、地図の上にいろんな情報を乗っける人、そういう物を作っている人、そういう情報を使ってサービスをしている人。様々な立場でGISに関わっている人がたくさん参加されていて、たくさんの発表を聞かせていただきました。
foss4g-tokai.github.io


 今回の参加の目的は、「なんとなく~」という部分(約8割)を覗くと、残る部分としては第一に、この分野の雰囲気を感じてみたかったこと。どういう話題がみんなの関心なのか、トレンドなのか、それらを感じることでした。第2には、オンラインでちょっとだけコメントをやりとりさせていただいた方や、イベントや資料をリツイートしてくれた方と会ってみたいと思ったこと。
 今回、この両方ともがパーフェクトに満たされ、また、期待以上の情報も出会いもあって、日帰り弾丸参加をした甲斐がありました。よかった。こういう素敵な体験をしてしまうと、岡山にもうっかり行きそうで、怖いですw

 参加しての全体の印象としては、「レイヤが高いな」ということでした。データ自体をどこにどのような形で格納しておくのか、という話は「承前」として、その上のレイヤでどう活用するか、どう見せるかというのが関心の対象なのかなと感じました。
 一点、とても印象に残った発表があって、それは中部大学の高橋さんの消防業務に生かすGISをテーマとしたお話。緊張しているのが伝わってくるような固い感じの中に、自分はこれをやりたい、そして伝えたい、という強い思いがあり、応援したくなりました。やりたいことを持ってさえいれば、実現方法はなんとでもなるので、本当に強いものです。

 MySQLに直接関わる話はほとんどないなれども、どんなデータを扱いたいのかの実例にたくさん触れられたのは、お仕事に喩えるといわば「要件定義前の御用聞き」に相当するもので、単に言われた数字を登録するだけのDB屋にならないために、たいへん良い経験になりました。


 懇親会の際にもたくさんの人に、どのように数字を扱っているのかを教えていただきました。



 というあたりで品川に着きそうなので、何を言いたいのかまとまらない感想文になってしまいましたが、このへんで。 セミナーでお話を聞かせてくださった皆様、休憩時間や懇親会でお話をさせていただいた皆様、どうもありがとうございました。まだしばらくMySQLGISまわりで騒ぎ続けると思いますので、今後とも色々おしえてください! 今日は楽しかったです!



追記:Togetterにまとめてくださっていました:
togetter.com

ClubMySQL #4:『周辺知識から理解するMySQL のGIS機能』でしゃべります

 いろんな人の話を少しずつ聞く勉強会も面白いけれども、もう少しじっくり聞いてみたいということもあります。
ひとりの人に 90分~120分程度語っていただく会として、ClubMySQLを開催しています。
開催を始めたときには、あんな人のこんな話を聞きたい!というのが一杯あって、つまり、いろんな人に喋ってもらう事だけを考えていたのですが、どうしてもじっくりと語りたいネタができてしまって、自分で喋ることになりました。自作自演。変なの。

 この日記は、その予告です。8月31日(金)Yahoo!さんのLODGEをお借りしての開催です。会場の都合で締め切りが8/27(月)の夕方と、やや早めに設定されているので、「あとで申し込もう」と思っていた方はご注意ください。
clubmysql.connpass.com


 と大切な案内を済ませたところで、本題を。
ご存じの通り、MySQL 8.0 にて、結構本気でGIS機能が整備されました。そろそろ使えるんじゃないかな、と思って使い方を調べているうちに、「位置」というのは結構奥深いというか複雑だということを思い知りました。単純に「北緯何度、東経何度」と言っただけでは正確な位置は指し示せていないのです。
 もっと訳が分からないのは「標高」。衛星からの測量で正確な標高がわかる?いやいやw

 日本中の測量が三角点を結んだ「三角点網」によって構成されていることを知っている方は多いと思いますが、一番最初に測る大きな三角点網である「一等三角点」が作り出す三角形は、一辺が30~50km程にもなります。三角測量は「一辺と両端角」の情報によって成立しているので、この一辺30kmの長さはいったいどうやって正確に測るのか。
 日本の緯度経度を決定する中心となる点が東京にあるんですよ。高さを決める基準の点も。


 もちろん、MySQLでこれらの情報を扱うための、基本的な情報もお話します。ジオメトリの型のカラムを作って、そこにデータを入れるだけ、というのは簡単ですが、そこに入っている数字(緯度・経度? 地図の基準からの相対距離?)の意味を理解することで、「言われた数字を出し入れするだけのDB屋」から「位置情報の意味をわかってしっかりと取り扱えるDB屋」になることができますから、今回のテーマ「周辺知識から理解する」ことで、MySQLで位置情報を扱うのが楽しくなってくれたらなぁと願いつつ、お話をしたいと思います。

 たぶん、GIS関係を以前からやられている型にとっては、「あぁ超入門編ね」と気づかれていることと思います。そうなんです。だから今しか語れない。1年後に同じ内容の話をしたら「何を今更、誰もが知ってる話をしてるんだ」と言ってもらえるようになっていて欲しい。MySQLユーザが地理情報を扱ってみるその第一歩として、今回のお話が役に立ってくれることを願っています。


 7月に日本MySQLユーザ会会(MyNA会)で話した内容も再度お話する部分も多くなるかと思います。でも、この部分はさらっと流すかもしれないので、もし事前に余裕がある方は、以下の資料に軽くでも目を通しておいていただけると、当日の理解もしやすいかな、と思います。
 https://www.slideshare.net/sakaik/mysqlgis-myna20187-107186395



 ということで、MySQLGISの使い方を調べていたら三角点とか測量とかの話にも首を突っ込むことになってしまった坂井のClubMySQL、ご興味をもたれた【GIS初心者の】皆様の申込/来場をお待ちしています。
 
免責事項:せいいっぱい正しい情報をお話するつもりですが、お勉強中な部分も多く、不正確な部分が含まれる可能性がありますことをご容赦ください。

ClubMySQL #3: 『yoku0825のつくりかた』を開催しました

 第3回目となる ClubMySQL をサイボウス様のオフィスをお借りして開催しました。今回のテーマは「yoku0825のつくりかた」。ブログで、イベント発表で、Twitterで、様々なMySQL情報を発信してくれている、今やMySQLコミュニティの顔とも言える yoku0825さん(以下 yokuさん)に、「あんた、なんでそんなすごくなったの?」を聞きたくて、お願いをしました。

clubmysql.connpass.com


 yokuさんはこのたび、日本MySQLユーザ会の運営スタッフ(副代表)への参加をしていただくことになりました。一度は固辞したスタッフ職をなぜ今引き受けたのか、それも今回語ってくれました。意外と現実的なお話(笑)。そういや資料は公開してくれるのかな。公開してほしいなぁ(最後の部分は、どうしても伝えたいメッセージだけを加筆する程度でもいいし)。


 ClubMySQLでは、本編が始まる前に、なるべく本編のテーマに沿った話題でのLTを入れていますが、今回の縛りは「yokuさんに関すること」。なんとまぁ難しいテーマ。このテーマで語れる人は数人しかいないと思っていましたが、その最たる人である @soudai1025 さんが今回のLTを引き受けてくれました。

speakerdeck.com

 yokuさんは便利だから、ネットでどんどん質問して、どんどん活用しちゃおうぜ!キャッキャウフフ!という話で終わるのかと思いきや、俺たちもyokuさんになろうぜ!という強いメッセージが最後に来て、ちょっとうるると来ました。いい話だった。


 そして本編のyokuさん。シンプルに「you0825のつくりかた」を数分間で終わらせた後、MySQLとの触れあいの遍歴を語ってくれました。MySQLとの出会いからMySQLの設定や構成によってハマってきた罠まで、いつもの調子で語ってくれました。
 中盤くらいからは、だんだん自分語りの要素が強くなってきます。このあたりから、心なしかyokuさんの落ち着きがなくなってきます(笑)。やたらと伸びをしてみたり、もじもじしたり。そりゃそうですよね。「オレがどんなにすごいのか、どうしてこんなにスゴくなったのかを語ってください」ってお願いして、「ハイ!オレはこうやってすごくなりました!」とは、なかなか言えないですよね(^^;)。 やりにくいテーマでの講演をお願いしてすいませんでした。

 たくさんの、yokuさんがやってきたことを聞かせてもらいましたが、とにかく 8 h × 250 days per year の MySQLとのふれあいの時間は、何事にも代えがたいパワーになっているなと感じました。「こればっかりやらされている」と感じるか「これに、こんなにも専念させてもらえる」と感じるかというのが人によって違うと思いますが、yokuさんが後者のタイプだったことで、いまの yokuさんが「しっかりと捏ね」られてきたことがわかります。
 その後、尊敬する @sh2nd さんに出会えたり、アウトプットを増やすことで、梶山さんと出会ったり、スティーブからAceに推薦されたりのサクセスストーリーが続き、地雷を踏み抜きながら今の yoku さんができあがったことが、よくわかりました。中でも特に「(尊敬する)すごい人でも、知らない事があるんだと気づいた」というお話は、一旦気づけば当たり前なのですが、尊敬の思いが強ければ強いほど、相手が全能のように思えてしまうだけに、気づいた時は大きなターニングポイントだったのだろうな、と感じました。


 なかなか機会のないであろう長丁場の講演をしてくださった yokuさん、本当にどうもありがとうございました。私もとっても楽しかったし、来てくださった方がすっごく喜んでくれている様子が伝わってきて、yokuさんにお話していただいて良かったなぁと感じました!ありがとうございました!おつかれさまでした!
 


 それから今回、案内メール(入館メール)が届いていなかった方がいまして、届かなかったこと自体は Connpass側の何らかのトラブルなのか、受け取り側のスパムフィルタ等にひっかかったのか、こちらでは分からないのでどうしようもない部分なのですが、TwitterでHELPの連絡をいただいたタイミングで反応できずに、結局入館できずにお帰りになられた件は、大変申し訳ありませんでした。届かない可能性もある、ということを前提に、その場合の連絡手段等を今後整備していきたいと思います。


 
 次回 ClubMySQL は #4、(8/31(金))「周辺知識から理解するMySQLGIS機能 」と題して、僭越ながら私がお話をさせていただきます。MySQL 8.0 で本気を出したGIS機能を利用するために知っておきたい「地球上の位置」に関する基本的なお話を中心に、MySQLGIS機能(Spatial機能)の知識ゼロの方を知識イチまでお連れします。(TODO:あとで別の日記書いてリンク貼る)
clubmysql.connpass.com



■参加者のブログ等:
hmatsu47.hatenablog.com
togetter.com



f:id:sakaik:20180820184707j:plain 

日本MySQLユーザ会会(MyNA会)2018年7月 参画

祝・MySQL 8.0 GAリリース!
と題して久々に開催された 日本MySQLユーザ会会(MyNA会)に参加してきました。

atnd.org

 ひと枠をいただいて、MySQL 8.0 でちょっと本気を出した感のある MySQLGIS 機能について話して、、、いるフリをして、関係ない話をいっぱいしてきました。ヒトコトで「緯度経度を登録できるんですよ」と言っても、緯度経度とはなんぞやということを理解しないと、正しくデータを扱うことはできません。(今回はお話しませんでしたが、もう少しツッコんで言うと、緯度経度という単位だけではなく、決められた中心点(←この「きめ」がこれまたたくさんあります)からの、北へ何メートル、東へ何メートル、なんていう表現方法もあるのです)
 まずは興味をもってもらうところから、と考え、周辺話題をたくさ、、、、いえ、、白状します。私がお勉強していて楽しかったから、聞いて欲しくて話しましたっ!

 勝手に盛り上がって勝手に楽しんで話していたのを、しっかりと分かってくださったようで嬉しいです(笑)。
boiledorange73.hatenablog.com


 今回入りきらなかった話題を含めて、もっともっとGIS(の基礎の基礎の基礎)についてお話する会を 8/31(金)に開催することになりましたので、ぜひそちらも参加ご検討ください。


 今回のMySQLユーザ会会、久々にカジュアルな雰囲気で、良かったなぁと思いました。2009年にこの名前でのイベントを始めた時には、主催側でおつまみ(ピザ含む)と飲み物を用意していました。話すほうも聞く方も、気楽な雰囲気で参加して欲しいという願いを込めての開催でした。今話している話題に興味ない人は、(聞きたい人の邪魔にならなければ)後ろのほうで雑談していてもいい、みたいな感じ。
 今回そこまでではありませんが、事前のアナウンスのおかげもあって、少し自由率が高い雰囲気になったのは、ちょっぴり嬉しかったです。


発表資料:

www.slideshare.net