一流の人脈術

 

デキる人は皆やっている 一流の人脈術 (アスカビジネス)

デキる人は皆やっている 一流の人脈術 (アスカビジネス)


 言っていることは分かるけれども、う〜んと悩んでしまう、そんな感じの本。 自分に「人脈」があるとはとうてい思えないが、色々な人に会いたいという思いと、そこで出会ったうちの尊敬できる相手についてもっと知りたいという思い、その結果としてたくさんの仲間(おそらくこの本で言う「人脈」というもの)と知り合うことができ、ときに助けてもらったりもしています。
 そもそも「人脈」というのは何かの結果であってこれ自体を目標にする類のものではない。「ともだちひゃくにんできるかな」という歌も、100人の友達作りを目標にするわけではなく、たくさんたくさん仲良し友達ができてその結果100人くらいお友達ができたら嬉しいな、ということを表しているわけで、「よしっ、あと32人!」みたいに100人という数字を目標にしているわけではないだろうと思います。


 この本の想定読者は人脈づくりがうまく行かずに悩んでいる人、あるいは今まで気にしなかったけどそろそろ人脈なるものを意識して作ってみようかと考えている人であることは想像に難くない。
 そういう想定読者に対して本書は小手先のテクニックを伝授するにとどまっているように感じてなりません。もちろん本質的な事も書いてあるものの、こういった想定読者に対して「会った人にはなる早でメールしちゃいなさい」「たくさんの知り合いに近況書くのはメンドーだからメルマガ作って同報メールしちゃうとラクだよ」などのわかりやすい(しかし本質は捉えていない)部分のみが印象に残りやすいことは、読み手の読解力を批判するのは酷というものでしょう。
 いや、わかるんですよ。考え方などの本質的な事を幾ら説いても売れる本にならない、具体的な「行動」方法を紹介しろという出版社の意向(あるいは著者自身の打算)があるということは。 だから思う。 対面でも伝わりにくいことを文字だけで伝えるというのは、本当に難しいことですね。


 この本だけの影響ではないだろうけれども、交流会や勉強会などかで会った方からツマラナイメールをもらうことが最近多くなったんですよ。宛名を私以外に書き換えればそのまま他の人に送っても違和感がないようなメールとか、もっとひどいのになると BCC でみんなに送っているようなメールとか。 嬉しくないですよね。
 上手下手ではなく、気持ちが入っているかどうか。 これがもらって嬉しいメール=本書で言うところの「その後の人脈につながる」メール=だと言えるでしょう。 最近もらった中では、共通の知り合いが居ると分かった人から、「○○さんとはこんな知り合いでこんな風にお世話になっているんですよ」と知人を立てつつ上手に自分が強みを持つ分野について自己紹介をしてくださったメールとか、お話しした話題について印象に残ったものを挙げて話を膨らませてくれるメールなどが、もらって印象に残ったメールでしたね。


 私はこの著者のことを(活躍されている方らしいが)存じ上げないので、先入観なしで本書を読み、「小手先の、わかりやすいテクニック集」的な印象は感じました。本質的な部分は理解しているものの実際にどう行動するべきかの引き出しを増やしたい中級者向けの本という印象。 著者が安っぽい「人脈」を量産して悦に入っている人なのか、本当に周りに人が集まってくる人なのかは判断が付きませんでした。
 が、、巻末の藤巻氏の対談での写真を見て確信しました。 あぁこの人はまわりを引きつける何かを持っている、ということを。 会ってみないと分からない部分は勿論ありますが、私なら会う機会があればお会いしてみたいな、と感じたし、考え方が合う合わないは話してみないと分からないけれども、合う合わないにかかわらずひとりの人間として尊敬しておつきあいができそうだな、そんなものを感じました。
 写真重要(笑)。


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