決断力

決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)

 将棋の羽生さんの本。2005年の本なので少し前の時代の話題ではあるが、本質は変わらず、興味深く読めた。 タイトルは「決断力」だが、本書を通した一貫したテーマというわけではなく、決断力の重要性「について述べている箇所もある」程度だと思ったほうが良い。おそらく同出版社より谷川さんが出されている「集中力」にあわせた題名付けらと推測する。(ちなみに谷川さんは2007年には「構想力」という本を出されているので次は羽生さんが「○○力」を出す番だろうか)


 内容として印象に残ったのは、「"集中" の度合いの高さ」と「近代の情報戦、、つまり情報を事前によく知っておかないと勝負にならない」の話だ。 特に後者は「(他人の棋譜などの)情報は持っていて当たり前で、今後はそれを前提にした「さらなる考える力」が重要になってくるというという言葉が、まさに「情報の高速道路」と言われる現象と重なったのが印象的だった(コンピュータを使用することで高速道路に乗ったかのように情報そのものにはたどり着けるようになったが、情報を知ったあとでどうしたら良いかを自分で考えることができない、つまり高速道路を降りたあとで渋滞が起きているという話)。


 もうひとつ「逃げない」という言葉も印象的だった。自分の得意な戦型に逃げ込もうとしたりせず、相手が得意な戦型で挑んできたらそれに挑み返すくらいの姿勢で常に自分自身を進歩させるその姿勢には、まだまだ自分は不足しているなと考えさせられた。


 ぱらぱらめくりながらさくっと読める本。羽生さんが隣に座って語ってくれているような楽しさのある本だったと思う。


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