ツール・ド・フランス第21ステージ

 ツール・ド・フランス第21ステージ。シャンゼリゼをゴールとする最終ステージ。
 もう、今日起こったことが本当なのか、そしてこれが今後の歴史の中でどういう意味を持つのか。 そんなことを、まだ夢のような気分で思っている、今です。


 前半は例年通りお祭りムード。 国際映像にフミとアラシロの2ショットが何度も映ったり(この映像はフランスの局がつくった振り返り映像にも何度か使われた)、アラシロはカメラバイクに「バンザイ、カミカゼ、ハラキリ」と遊ばれたり(?)、総合優勝のコンタドールと総合最下位(ランタンルージュ)のよーへに・うたろびっちの2ショットが写ったり。 うたろびっちはヘルメットの後ろに赤い布のようなものをつけていました。 ランタンルージュ(笑)。 


 ランスは様々な選手とお話。 どうやら来年作るチームへの勧誘作戦という説が濃厚。まずは経験深いハスホフトに意見を長いこと伺ってスプリンターの情報を仕入れた模様。その後次々にめぼしい選手を口説きにかかっていました。 ランスはレース外では昔から結構なプレイボーイとして知られているのでそれに倣ってJSPORTSの放送では「プレイライダー」という言葉が生まれました。 全然意味わかんない(^^;)。


 ヘリからの映像でエッフェル塔が霞の先に見え、セーヌ川の脇を通り、橋を越え右折、道路をくぐって上がってきたところはいつもの黄金のジャンヌダルク像。 アスタナがマイヨジョーヌコンタドールを率いて颯爽とシャンゼリゼ入りします。 1回目のゴールラインを越えて、、、いきなりアタックがかかりました。 一周くらいはこのままで走ってくれよ、落ち着きのないやつだな、、と思ったその対象は AG2Rのカルザッティ。 このアタックは決まらずすぐにつかまり、そしてカウンターをかけたのは、、、、、スキルシマノの別府フミ!!!!!!!!!!!


 そこに何人かが乗っかり、7,8人の逃げ形成。公式サイトにもこう書かれています。

                                                                                              • -

Then Beppu (SKS) launched an attack before the Haut des Champs and took six others with him. The escape was: Veikkanen (FDJ), Coyot (GCE), Dumoulin (COF), Pichot (BBO), Barredo (QST), Wegmann (MRM) and Beppu (SKS). By the third of the eight laps they were ahead by 35”.

                                                                                              • -


 一周くらいは待ってほしいと思うものの始まってしまったのは仕方ないので、タイミング逃さずカウンターを仕掛けたフミの流れを読む力に脱帽です。 しかも今年のシャンゼリゼで決まったアタックは結局このひとつだけだったということを考えると、一発で決めたフミの加速力がどんなものだったかが想像できます。


 この逃げはなんとラスト1周の鐘を聞いてもまだ捉まらず、延々7周40キロに渡ってシャンゼリゼのパーヴェの上をエスケープ。 フミがレース後のコメントで「ぼくが一番引いた!」と言っていることが決して誇張ではないように、かなり積極的に回っていました。


 普段私は、シャンゼリゼの周回に入った後は、シャンゼリゼ近くの風景鑑賞に入ります。コンコルド広場、ルーブル美術館、チュイルリー庭園、移動遊園地、観覧車。オベリスク。 そんなものが一切目に入らなかったことしの8周回でした。 逃げは最後には3人になり、そして吸収。
 ツール・ド・フランスを見たことがない人には分からないと思いますが、10年近くレースを見てきた身からすると 「ありえない」 ことが起こったんです。 フミには悪いけど「シャンゼリゼに入ってからの高速走行になったら、ちぎれる(ついていけない)んじゃないか」と思っていました。 それがちぎれるどころか、アタックをかけて、つかまらずに延々40kmも逃げ続けるなんて(しかもパーヴェで)、未だに起こったことを自分の中で現実として理解できないままです。
 このアタック、逃げ、および逃げ集団内での活躍を評価されて、第21ステージの敢闘賞をもらいました。 残念ながらステージ敢闘賞の表彰は表彰台では行われませんでしたが、ツール・ド・フランスで初めて「表彰」をされた日本人ということにもなります。 
 間違いなく日本の自転車ロードレース界で何かひとつの大きな扉がまた開いた日になったと言ってよいでしょう。

 ステージ勝利はカヴェンディッシュ。またか。 ヒンカピー&レンショーのアシストが盤石ですね。 アラシロはスプリントに参加したものの20位でゴール(ポイントはゲット!)。


 昨日の日記を読み返してみて改めて驚いたのですが、昨日私が多少の夢物語も含めて期待したことを、2人はやてくれました。「フミには逃げに、アラシロは最後のスプリントに!」と。 フミには逃げに「乗ってくれたらいいなー。シャンゼリゼはペースが速いのですぐつかまるだろうけど」と思っていたので、長い逃げも、そしてアタックに「乗る」ではなく「作る」をやったフミには、感動しました。


 今年はフミとアラシロの2人の日本人の出場やランスの復活、コンタドールの復帰、モンヴァントゥの最終決戦など、話題の多いツールでした。私も例年以上に力を入れて観戦しました。たぶんここ(はてなダイアリー)の日記を全ステージ書いたのは初めてなんじゃないかな(笑)。
 私的10大ニュースはまた後ほどまとめてみたいと思います。


.