伊能忠敬記念館@さわら に行ってきた

 8月のとある日*1、一日結構自由になる日ができたので、千葉県は さわら にあります「伊能忠敬記念館」へと足を運んでみました。

伊能忠敬記念館:香取市ウェブサイト:香取市観光サイト

 MySQL 8.0 でGIS機能に本気を出したように見えたことをきっかけとして、位置を特定する方法、そして位置の集合体である地図や測量が気になってしまい、今回の訪問と相成った次第。県内にあるので比較的行きやすいだろうと思いながらも、なかなか機会のなかった伊能忠敬記念館。行こうと思って調べたら、念頭にあったものよりも少し遠かったです。というのも、、えぇと佐原のみなさんすいません、佐倉のあたりだと思い込んでいたのです。なんとなく「さ○ら だったよなぁ」くらいの記憶で。でも今回ちゃんと覚えた!
 我孫子からは車で1時間強。まぁ1時間半見ておくとゆとりを持てます。

 駐車場に車を停めて記念館に向かうと、まず一等水準点がお出迎え。あっ、忠敬先生がお出迎えというべきところでしょうか。でも私の目には、こちらしか目に入りません。ほら、マチナカ歩いていて飲食店がたくさんあってもラーメン屋さんしか目に入らないじゃないですか。あれみたいなものだと思います。ちなみにこの水準点、平成14年に移設されてきたものなので、それほど歴史的なすごさがあるわけではないです。あと、一等三角点(約40kmごと)と異なり、一等水準点はたくさん(約2kmごと)ありますので、まぁそういうものです。
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 忠敬記念館入り口。500円を払って入館します。
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 展示場内は写真撮影禁止なのは残念でした。いろいろ思い出に撮って持ち帰りたい物があったのですが。
なのでここからしばらくは、言葉のみで。

 展示場は、大きめの空間がひとつと、小部屋がひとつ。天井は結構高くて、大きな地図が壁に掛けてあるのを見ることができました。どれがホンモノでどれがレプリカなのかがよくわからなかったので、「二分の一に縮尺しています」的な説明があるものを除いてぜんぶホンモノだと思って眺めてきましたが、とにかく素晴らしい。展示は「歴史・背景」「道具」「成果」の3つに大きく分けられると言ってよいかと思います。
 最初に私の目を惹いたのは、忠敬が家から職場までの距離を測った図。何度も角を曲がりながらそれぞれの距離を計測し、その直線距離を求めた、あれです。想像していた以上に細かく曲がりくねった道のりで、かつ、繊細に書き入れられた文字を眺めながら、思わずため息が漏れました。職場から離れた方角に向かってもうひとつのループを描いており、それが補正なのかなと妄想したりして。たぶん、この1枚の前で5分くらい滞在(笑)。

 実物を目にする利点は、その大きさや質感を感じられること。道具にしても成果地図にしても、かなり大きく、かなり繊細。何枚にも分かれた地図のつなぎ部分の工夫も面白い。割り印のようなコンパスローズ柄が合うようにつなげるのですが、必ずしも縦方向だけ、横方向だけ、ではなく、紙にスリットを入れることで少し重ね合わせて縦横で合致させられるように工夫してあるのです。
 半円方位盤やわんか羅針などは、方位磁石で北をとりながら、スリットを覗いて遠点の方角を読み取るものなのですが、このスリットの感覚などは、実物を見ることでようやくイメージが自分の中にしっかりできると言って良いでしょう。

 そんなこんなで、決して広い記念館ではないのですが、見学時間は通常20分~30分程度と言われている中で、たっぷり1時間以上かけて見学してきました。とにかく、興奮しっぱなしです。

 記念館を出て少しのところに、伊能忠敬が育った家があります。
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 敷地内の建物。これが以前は記念館だったらしく、少し前までまだ看板がかかっていたそうなのですが、さすがに2018年。もう看板は外されていました。
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 その後は、せっかく来たので、さわらの町歩きをしばらく。ゆったりしたとても良い雰囲気の町でした。こちらについては別日記のほうにまた書きたいと思います。
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*1:と言いつつ、この日記の便宜上の日付がその「とある日」だったりしますが

FOSS4G TOKAI 2018 に行ってきた話

 FOSS4G TOKAI 2018 に行ってきました。MySQL 8.0 でのGIS機能に興味を持ったことが高じて、週末にまったくアウェイの環境に行くなんて、どうかしている。
 地図を作っている人、地図の上にいろんな情報を乗っける人、そういう物を作っている人、そういう情報を使ってサービスをしている人。様々な立場でGISに関わっている人がたくさん参加されていて、たくさんの発表を聞かせていただきました。
foss4g-tokai.github.io


 今回の参加の目的は、「なんとなく~」という部分(約8割)を覗くと、残る部分としては第一に、この分野の雰囲気を感じてみたかったこと。どういう話題がみんなの関心なのか、トレンドなのか、それらを感じることでした。第2には、オンラインでちょっとだけコメントをやりとりさせていただいた方や、イベントや資料をリツイートしてくれた方と会ってみたいと思ったこと。
 今回、この両方ともがパーフェクトに満たされ、また、期待以上の情報も出会いもあって、日帰り弾丸参加をした甲斐がありました。よかった。こういう素敵な体験をしてしまうと、岡山にもうっかり行きそうで、怖いですw

 参加しての全体の印象としては、「レイヤが高いな」ということでした。データ自体をどこにどのような形で格納しておくのか、という話は「承前」として、その上のレイヤでどう活用するか、どう見せるかというのが関心の対象なのかなと感じました。
 一点、とても印象に残った発表があって、それは中部大学の高橋さんの消防業務に生かすGISをテーマとしたお話。緊張しているのが伝わってくるような固い感じの中に、自分はこれをやりたい、そして伝えたい、という強い思いがあり、応援したくなりました。やりたいことを持ってさえいれば、実現方法はなんとでもなるので、本当に強いものです。

 MySQLに直接関わる話はほとんどないなれども、どんなデータを扱いたいのかの実例にたくさん触れられたのは、お仕事に喩えるといわば「要件定義前の御用聞き」に相当するもので、単に言われた数字を登録するだけのDB屋にならないために、たいへん良い経験になりました。


 懇親会の際にもたくさんの人に、どのように数字を扱っているのかを教えていただきました。



 というあたりで品川に着きそうなので、何を言いたいのかまとまらない感想文になってしまいましたが、このへんで。 セミナーでお話を聞かせてくださった皆様、休憩時間や懇親会でお話をさせていただいた皆様、どうもありがとうございました。まだしばらくMySQLGISまわりで騒ぎ続けると思いますので、今後とも色々おしえてください! 今日は楽しかったです!



追記:Togetterにまとめてくださっていました:
togetter.com

ClubMySQL #4:『周辺知識から理解するMySQL のGIS機能』でしゃべります

 いろんな人の話を少しずつ聞く勉強会も面白いけれども、もう少しじっくり聞いてみたいということもあります。
ひとりの人に 90分~120分程度語っていただく会として、ClubMySQLを開催しています。
開催を始めたときには、あんな人のこんな話を聞きたい!というのが一杯あって、つまり、いろんな人に喋ってもらう事だけを考えていたのですが、どうしてもじっくりと語りたいネタができてしまって、自分で喋ることになりました。自作自演。変なの。

 この日記は、その予告です。8月31日(金)Yahoo!さんのLODGEをお借りしての開催です。会場の都合で締め切りが8/27(月)の夕方と、やや早めに設定されているので、「あとで申し込もう」と思っていた方はご注意ください。
clubmysql.connpass.com


 と大切な案内を済ませたところで、本題を。
ご存じの通り、MySQL 8.0 にて、結構本気でGIS機能が整備されました。そろそろ使えるんじゃないかな、と思って使い方を調べているうちに、「位置」というのは結構奥深いというか複雑だということを思い知りました。単純に「北緯何度、東経何度」と言っただけでは正確な位置は指し示せていないのです。
 もっと訳が分からないのは「標高」。衛星からの測量で正確な標高がわかる?いやいやw

 日本中の測量が三角点を結んだ「三角点網」によって構成されていることを知っている方は多いと思いますが、一番最初に測る大きな三角点網である「一等三角点」が作り出す三角形は、一辺が30~50km程にもなります。三角測量は「一辺と両端角」の情報によって成立しているので、この一辺30kmの長さはいったいどうやって正確に測るのか。
 日本の緯度経度を決定する中心となる点が東京にあるんですよ。高さを決める基準の点も。


 もちろん、MySQLでこれらの情報を扱うための、基本的な情報もお話します。ジオメトリの型のカラムを作って、そこにデータを入れるだけ、というのは簡単ですが、そこに入っている数字(緯度・経度? 地図の基準からの相対距離?)の意味を理解することで、「言われた数字を出し入れするだけのDB屋」から「位置情報の意味をわかってしっかりと取り扱えるDB屋」になることができますから、今回のテーマ「周辺知識から理解する」ことで、MySQLで位置情報を扱うのが楽しくなってくれたらなぁと願いつつ、お話をしたいと思います。

 たぶん、GIS関係を以前からやられている型にとっては、「あぁ超入門編ね」と気づかれていることと思います。そうなんです。だから今しか語れない。1年後に同じ内容の話をしたら「何を今更、誰もが知ってる話をしてるんだ」と言ってもらえるようになっていて欲しい。MySQLユーザが地理情報を扱ってみるその第一歩として、今回のお話が役に立ってくれることを願っています。


 7月に日本MySQLユーザ会会(MyNA会)で話した内容も再度お話する部分も多くなるかと思います。でも、この部分はさらっと流すかもしれないので、もし事前に余裕がある方は、以下の資料に軽くでも目を通しておいていただけると、当日の理解もしやすいかな、と思います。
 https://www.slideshare.net/sakaik/mysqlgis-myna20187-107186395



 ということで、MySQLGISの使い方を調べていたら三角点とか測量とかの話にも首を突っ込むことになってしまった坂井のClubMySQL、ご興味をもたれた【GIS初心者の】皆様の申込/来場をお待ちしています。
 
免責事項:せいいっぱい正しい情報をお話するつもりですが、お勉強中な部分も多く、不正確な部分が含まれる可能性がありますことをご容赦ください。

ClubMySQL #3: 『yoku0825のつくりかた』を開催しました

 第3回目となる ClubMySQL をサイボウス様のオフィスをお借りして開催しました。今回のテーマは「yoku0825のつくりかた」。ブログで、イベント発表で、Twitterで、様々なMySQL情報を発信してくれている、今やMySQLコミュニティの顔とも言える yoku0825さん(以下 yokuさん)に、「あんた、なんでそんなすごくなったの?」を聞きたくて、お願いをしました。

clubmysql.connpass.com


 yokuさんはこのたび、日本MySQLユーザ会の運営スタッフ(副代表)への参加をしていただくことになりました。一度は固辞したスタッフ職をなぜ今引き受けたのか、それも今回語ってくれました。意外と現実的なお話(笑)。そういや資料は公開してくれるのかな。公開してほしいなぁ(最後の部分は、どうしても伝えたいメッセージだけを加筆する程度でもいいし)。


 ClubMySQLでは、本編が始まる前に、なるべく本編のテーマに沿った話題でのLTを入れていますが、今回の縛りは「yokuさんに関すること」。なんとまぁ難しいテーマ。このテーマで語れる人は数人しかいないと思っていましたが、その最たる人である @soudai1025 さんが今回のLTを引き受けてくれました。

speakerdeck.com

 yokuさんは便利だから、ネットでどんどん質問して、どんどん活用しちゃおうぜ!キャッキャウフフ!という話で終わるのかと思いきや、俺たちもyokuさんになろうぜ!という強いメッセージが最後に来て、ちょっとうるると来ました。いい話だった。


 そして本編のyokuさん。シンプルに「you0825のつくりかた」を数分間で終わらせた後、MySQLとの触れあいの遍歴を語ってくれました。MySQLとの出会いからMySQLの設定や構成によってハマってきた罠まで、いつもの調子で語ってくれました。
 中盤くらいからは、だんだん自分語りの要素が強くなってきます。このあたりから、心なしかyokuさんの落ち着きがなくなってきます(笑)。やたらと伸びをしてみたり、もじもじしたり。そりゃそうですよね。「オレがどんなにすごいのか、どうしてこんなにスゴくなったのかを語ってください」ってお願いして、「ハイ!オレはこうやってすごくなりました!」とは、なかなか言えないですよね(^^;)。 やりにくいテーマでの講演をお願いしてすいませんでした。

 たくさんの、yokuさんがやってきたことを聞かせてもらいましたが、とにかく 8 h × 250 days per year の MySQLとのふれあいの時間は、何事にも代えがたいパワーになっているなと感じました。「こればっかりやらされている」と感じるか「これに、こんなにも専念させてもらえる」と感じるかというのが人によって違うと思いますが、yokuさんが後者のタイプだったことで、いまの yokuさんが「しっかりと捏ね」られてきたことがわかります。
 その後、尊敬する @sh2nd さんに出会えたり、アウトプットを増やすことで、梶山さんと出会ったり、スティーブからAceに推薦されたりのサクセスストーリーが続き、地雷を踏み抜きながら今の yoku さんができあがったことが、よくわかりました。中でも特に「(尊敬する)すごい人でも、知らない事があるんだと気づいた」というお話は、一旦気づけば当たり前なのですが、尊敬の思いが強ければ強いほど、相手が全能のように思えてしまうだけに、気づいた時は大きなターニングポイントだったのだろうな、と感じました。


 なかなか機会のないであろう長丁場の講演をしてくださった yokuさん、本当にどうもありがとうございました。私もとっても楽しかったし、来てくださった方がすっごく喜んでくれている様子が伝わってきて、yokuさんにお話していただいて良かったなぁと感じました!ありがとうございました!おつかれさまでした!
 


 それから今回、案内メール(入館メール)が届いていなかった方がいまして、届かなかったこと自体は Connpass側の何らかのトラブルなのか、受け取り側のスパムフィルタ等にひっかかったのか、こちらでは分からないのでどうしようもない部分なのですが、TwitterでHELPの連絡をいただいたタイミングで反応できずに、結局入館できずにお帰りになられた件は、大変申し訳ありませんでした。届かない可能性もある、ということを前提に、その場合の連絡手段等を今後整備していきたいと思います。


 
 次回 ClubMySQL は #4、(8/31(金))「周辺知識から理解するMySQLGIS機能 」と題して、僭越ながら私がお話をさせていただきます。MySQL 8.0 で本気を出したGIS機能を利用するために知っておきたい「地球上の位置」に関する基本的なお話を中心に、MySQLGIS機能(Spatial機能)の知識ゼロの方を知識イチまでお連れします。(TODO:あとで別の日記書いてリンク貼る)
clubmysql.connpass.com



■参加者のブログ等:
hmatsu47.hatenablog.com
togetter.com



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日本MySQLユーザ会会(MyNA会)2018年7月 参画

祝・MySQL 8.0 GAリリース!
と題して久々に開催された 日本MySQLユーザ会会(MyNA会)に参加してきました。

atnd.org

 ひと枠をいただいて、MySQL 8.0 でちょっと本気を出した感のある MySQLGIS 機能について話して、、、いるフリをして、関係ない話をいっぱいしてきました。ヒトコトで「緯度経度を登録できるんですよ」と言っても、緯度経度とはなんぞやということを理解しないと、正しくデータを扱うことはできません。(今回はお話しませんでしたが、もう少しツッコんで言うと、緯度経度という単位だけではなく、決められた中心点(←この「きめ」がこれまたたくさんあります)からの、北へ何メートル、東へ何メートル、なんていう表現方法もあるのです)
 まずは興味をもってもらうところから、と考え、周辺話題をたくさ、、、、いえ、、白状します。私がお勉強していて楽しかったから、聞いて欲しくて話しましたっ!

 勝手に盛り上がって勝手に楽しんで話していたのを、しっかりと分かってくださったようで嬉しいです(笑)。
boiledorange73.hatenablog.com


 今回入りきらなかった話題を含めて、もっともっとGIS(の基礎の基礎の基礎)についてお話する会を 8/31(金)に開催することになりましたので、ぜひそちらも参加ご検討ください。


 今回のMySQLユーザ会会、久々にカジュアルな雰囲気で、良かったなぁと思いました。2009年にこの名前でのイベントを始めた時には、主催側でおつまみ(ピザ含む)と飲み物を用意していました。話すほうも聞く方も、気楽な雰囲気で参加して欲しいという願いを込めての開催でした。今話している話題に興味ない人は、(聞きたい人の邪魔にならなければ)後ろのほうで雑談していてもいい、みたいな感じ。
 今回そこまでではありませんが、事前のアナウンスのおかげもあって、少し自由率が高い雰囲気になったのは、ちょっぴり嬉しかったです。


発表資料:

www.slideshare.net

オープンソースカンファレンス2018北海道 参画

 オープンソースカンファレンス2018北海道(OSC2018-Hokkaido)に今年も参加してきました。日本MySQLユーザ会(MyNA)として、ブース出展ならびにセミナーひと枠開催にて。
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www.ospn.jp


 久々に会える方もたくさんいて、私、全然北海道出身でもなんでもないのですが、来るたびに「帰ってきた」という気分に勝手になっています。寒い地域だけど、とっても暖かい。いや本当に今回のOSC日程での北海道は寒かったんですけどね。

 今回は、MySQL 8.0 がこの春にGAになってから初めての北海道のOSCだったので、MySQL 8.0 の新機能を紹介するのをとても楽しみにしていました。全般的な話は Oracle MySQL Community Team さんがしてくれるようだったので、私は MySQL 8.0 で本格的に再実装された GIS 機能の話を中心にセミナーを構成してみました。まだ多くのMySQLユーザが知らない分野だと思うので、まずは入門の入門から。MySQLでの座標情報の扱い方の基本から、緯度経度のお話まで。MySQLでの扱い方そのものは複雑なものでもないので、MySQLに入れる「緯度・経度」データについて、そもそも緯度・経度とは何?というお話を交えながら興味を持っていただけるような構成にしてみました。
 今だけしか話せない、つまり1年後には、今回話したような内容は MySQL ユーザには「当たり前」になっていてほしい、そんな話をしたつもりですので、ぜひみなさんも MySQLGIS 機能を色々試してみていただければと思います。
 少なくとも年内いっぱいは、このテーマ、成長しながら各地で展開していきたいと思います。


www.slideshare.net

「フォントおじさん」関口氏のお話を聞いて俄然フォントに興味を持ってきた

 【フォントおじさん、関口浩之氏特別講座】 『フォントを学ぼう』2時間×3日間 という講座があり、気になったので参加してみました。私自身のスペックとしては、美的センスなし、デザインセンスなし、フォントには少し興味はあるけど真剣に接したことなし、という「音感はあるけどフォント感はない」の代表者みたいな感じです。
 そんな私が、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で、筑紫フォント*1の藤田氏を見て、そのこだわりと工夫苦労に感銘を受け、同時に「おもしろそうだな」と思ったのがきっかけとなり、その後の様々なご縁と経緯もあって、今回の勉強会に参加させていただいた次第*2
 この勉強会は、(株)メンバーズさんが開催する「Co-creation Digital Lab.(旧称 Members University)」という社内向け勉強会の席の一部を社外にも公開してくださっているもの。メンバーズさん、太っ腹! 3週間にわたる計3回の講座で、セミナー本体は勿論、会場設営/撤収やドアキーパーの皆さんに大変お世話になりました。すてきな体験をさせていただきました。

webfont.fontplus.jp

memuni.connpass.com


 ちなみに私の好きな、というか気になるひらがなは「ふ」。五十音の中で唯一、4つものパートにばらばらにされている字です。しかも、3つの点が真ん中を、ふにゃりを取り囲むように配置されていて、思わず「あんたら、なにしとるん?」と声をかけたくなりますよね。3つのパートからなる「た」「に」にはさほど興味をそそられないけれど、「な」は少し気になる。そのほか、「わ」と「ね」、「め」と「ぬ」など、最後まで見ないと何の字になるか分からない子たちにもぐっと心をつかまれます。
 そんな興味から、講座の最中にもいろいろなフォントを自分勝手に眺めたりしていました。「ふぬそ」とか、もうフォントそれぞれが個性的で個性的で、しかし似たものもあったりして、そのあたりがなかなか面白かったです。


 さて、講座の話。
関口さんのお話は、大きく2つの主題から成っていると理解しました。ひとつが「フォントそのものの魅力」について。もうひとつが「Webフォント」について。

フォントの魅力について

  • 500年前のグーデンベルグ活版印刷や、100年程前の写植(写真植字)
  • 街中にはフォントが溢れている。どんな印象を伝えたいのか、にとても影響する
  • 一方で、表現したいものにそぐわないフォント採用も見受けられる
  • 交通信号の「止まれ」の字に、どんな工夫があるか、ご存じ?
  • 今は、各社いろいろなフォントを開発し、提供している
  • フォントかるた、っていうオモチャもあるよ(つい買っちゃったw)


 フォントって私にとっては「ものすごく高いもの」というイメージがあったので、気になりながらもなかなか近寄れなかったのですが、今は各種ソフトへバンドルされていたり、使い放題サービス(サブスクリプション)があったりして、「テレビで見たあのフォント」「このチラシでいいなと思ったフォント」などを自分でも使える環境ができつつあるという印象を受けました。


Webフォントについて

  • Webブラウザで表示されるフォントは、OSによって異なる。見え方が違う
  • 7年ほど前に Webフォントのサービスを立ち上げ
  • 当時の回線速度、日本語の文字数の多さ、ブラウザ側対応状況などから「ムリ」と思われていた
  • 近年、WinXPIE 6,7,8 が(事実上)終了したことで、良い風向きに
  • Webフォントは、cssで指定したフォントを、フォントサービスサイトから取ってきて、ブラウザが表示してくれるもの。(ローカルにフォントがなくても良い!)
  • ブラウザの処理順の工夫やそのほか(詳細失念)色々速くなっている。リモートからフォントを取ってきていることをあまりユーザに意識させないレベル
  • 関口さんのところでは、FONTPLUS というサービスを提供している。
  • 今迄は「見せたい」デザインを実現するには、画像化するしかなかったが、Webフォントを使うことにより、テキスト編集で修正が可能になった。お手軽
  • 画像ではなくWebフォントを使うことで、文字を「選択してコピペ」できるようになった。地味だけど結構これがユーザビリティをアップしている


 Webフォントについて全然知らなかった私にとっては、ここまでリモートにあるフォントを都度取ってきて表示する事が違和感ないレベルで可能になっていたことに対する技術的な驚きと、それらが驚くほどリーズナブルな料金*3で利用できるようになっているという経済原理的な驚きの両方がありました。
 加えて、画面でみて「このフォントなんだろう?」と思ったときに、ブラウザの開発者機能を使って簡単にフォントを知ることができる、という事も、Webフォント利用への距離感をぐっと縮めてくれたように感じます。
 実際にWebフォントを使った様々なサイトを見てみると、おしゃれだったり、エレガントだったり、力強かったり、楽しげだったりなど、サイトをひと目見た瞬間の印象が、(システムフォントだけを使っている場合に比べて)とても良いですね。サイトの主張を感じるというか、ほかとはひと味違うぞ、という感じ。



 3日間お話を伺ってきて、フォントの「見るべきポイント」の一端を知ることができ、フォントへの関心が俄然上がってきました。色々なWebフォント提供サービスがありますが、今回関口さんのお話を聞かせていただいたご縁もあるので、FONTPLUSでちょっと遊んでみたいなと思っています*4。5000PVまで試せるトライアル版としての利用(最大6ヶ月内)もできるようで、早速アカウント登録しました。この日記もフォント変えてみようと一瞬思いましたが、あっという間にトライアル回数を使い切ってしまいそうなので、別のサイトで遊んでみることにしようと思います。5000PVぶんなら、2,3ヶ月は遊べるかな。それ以後も、月あたり1000円で利用できるのならば、自分の遊びのためだけでも十分出せる値段だと思います。この価格破壊感に吃驚なのです。


 それにしても、フォントが気になり始めると、世の中がうるさくなりますね(笑)。もちろん良い意味で、、、、なのかな、、、なののつもりで言っているのですが、見る文字見る文字が気になってしまう。まずは超入門者として、「ゴシックなのか明朝なのか」「ゴシックはカドが四角いのか丸いのか」「線はまっすぐなのかカーブしているのか」「点などはつながっているのか切り離しているのか」あたりを見て、へぇぇとひとりごちている程度ですが、関口さんも仰っていた「フォントソムリエ」のような視点として、「ここにはこんなフォントを使いたいな」などという感覚と持ち駒が少しずつ増えていったら楽しいだろうなと妄想してみています*5


 最後に、講座の中でも紹介された MdNの「絶対フォント感」の3回の記事。AmazonKindle unlimited に入っている人でしたら、ゼロ円で読めます。いつ終了するかも知れないのでご興味のある方はお早めのゲット(借り受け?)をお勧めします。私もゲットしたので、これから少しずつ眺めてみようと思います。
月刊MdN 2017年10月号(特集:絶対フォント感を身につける。[明朝体編])[雑誌] 月刊MdN 2015年 7月号(特集:絶対フォント感を身につける/付録小冊子 フォント見本帳)[雑誌] 月刊MdN 2016年11月号(特集:絶対フォント感を身につける。2)[雑誌] 月刊MdN 2014年 04月号(特集:タイポグラフィの現在/キルラキルの文字演出 ほか)


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*1:筑波山を見て育った私には「筑」は「つく」なのですが、九州の「筑」は「ちく」だと思い込んでいました。でもこれは「つくしふぉんと」と読むそうです

*2:博多座の前は時々通りますが、あのエリアでこんなフォントが作られていたなんて、全然知りませんでした

*3:無料のものもある

*4:https://webfont.fontplus.jp/

*5:とりあえず「マティス」は覚えた!マティスのどれだったかはよく分かっていないけどw