池上彰さん−私にとっては「(週間こどもニュースの)お父さん」と言ったほうがピンと来るが−の書かれた本。池上さんは845ニュースの頃に気になり、その後いつのまにか「週間こどもニュース」という番組を始められていて、気づいたら11年もその番組を担当されていたのですね。思わず時間の流れの早さに溜息が出てしまいます。
さてこの本、帰宅途中に立ち寄った上野駅の本屋でおすすめコーナーに平積みにされていて、たまたま開いたページに「接続詞 "が" の相応しくない使い方」の話があったことで、一瞬にして相思相愛になりそのまま購入に至ったものです。
翌日の電車の中の行き帰りで一気に読んでしまいました。さすがに「伝える力」を書く人の本は伝える力を持っています。ぐいぐい引き込まれてしまいました。
週間こどもニュースで見る池上さんは物腰丸く、何事も丁寧に教えてくれる人という印象があったが、この本ではもうクチが悪い悪い(普段のイメージからの差での印象なので、不快になるような無責任な放言ではないです)。「こんな事も知らない人がいる」「これくらいは知っていて欲しい」という部分には愛すらあります。
耳当たりの良いことだけを言っていても伝わらないことはよくご存じで、だからこそどこまで踏み込んでいくか、非常に距離感を測りながら書かれたものと推察します。私にはこれくらいの「正しいことをきちんと言う」姿勢は心地が良いと感じました。
読み進むほど、普段私が考えていることと同じ事が書かれていて、思わず苦笑してしまうことも。「悪口は面と向かって言えるレベルで。」「日本は嫉妬社会」「(嫉妬社会について)私はこういう態度は大嫌いですが」「わかっていないのにわかったつもりになっている人が多い(わかってもいない言葉を尤もらしく使うな)」「(図表の)矢印にきちんと意味を」「"もうひとりの自分" がチェックする」そして細かい事ながら極めつけは「0.9mmシャープペンシルの使用」。
私も何年も前から 0.9mmのシャープペンシルを2本持ち歩いています。一本は普通にクロ(芯はB)、もう一本は赤の芯を入れています。これがまた便利なのです。 こういった細かいこだわりを、この本を読んで共有できたようで嬉しい気持ちになりました。
私自身はこの本を読んで、常日頃から自分が考えそして実践している(つもりの)ことと重なる部分も多かったため、非常に心地よく読み進めることができましたが、当たり前のことが出来ていない人にとってこの本から多くの新鮮な発見を得られることでしょう。 それほど時間がかかる本でもないので、少しでもこの本の事が気になったら読まれることをおすすめしたい一冊です。