呼吸入門

呼吸入門

呼吸入門

 呼吸というシンプルな行為について語られた、呼吸入門というシンプルなタイトルの本。まずそこに美しさを感じます。
私は楽器を吹いていた時期があったこともあり、息を吸い、溜め、吐く、という行為については多くの苦労と工夫をしてきました。その中で、音を出すためだけではない呼吸法というものも身を以て体験していたこともあり、本書の主張にはうなずく点も多くありました。 セロトニンという一見尤もらしい妖しげなものを持ち出して説明している箇所もありますが、セロトニン自体の有効性に関する議論などどうでもよく、このように息を吸い吐きすれば 「気分が良い」「はかどる」という結果があればたいていの人にとっては良いでしょう。
 「背中で吸う」感覚は、楽器をやっていたころに身につけたもので、まさに背骨の両わきから息が入っていくような気分なのです。これが深い息には本当に良い。そんな呼吸法を推している流派もあるとのことです。
 ただし各流派ごとにややこしい決まりや前提がありそれを会得するだけでも大変、という立場から、「3.2.15」呼吸法を提案しています。 3秒吸って2秒溜めて15秒でゆっくり吐く。吸うのは鼻から、吐くのは細く口から。 これなら確かに誰にでもできますね。


 あやしい宗教やあやしい団体に誘う本ではない(と思う)ので、呼吸について語れるものを持っていない人は一度本書を読んでみる価値はあると思います。科学的裏付けが、、なんて気にしないで、自分なりに呼吸を意識したら色々とラクになったとすれば、それでいいではないですか。


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