RubyKaigi 2023@Matsumoto に参加

 RubyKaigi 2023 に参加してきました。今まで色々な言語や技術の会に顔を出してきましたが、Rubyの大規模イベントへの参加は初めてです。
多くのイベントが「○○カンファレンス」という名前で開催されている中で「カイギ」という名前を付けたセンスや、国際カンファレンスとして第一言語を英語としている思い切り(英語恐怖症の私には運営者が神のように見えます)など、最初期から注目しているカンファレンス、、もとい、カイギでした。
 自分自身が主業務で Ruby を書く機会がほぼなかったため、これまで遠くから眺めるばかりだったのですが、昨年の津開催が(Twitterなどのネット情報を見ていて)とても楽しそうだったことと、一度行きたかった松本での開催だったことが重なり、今回の初参加と相成りました。

https://rubykaigi.org/2023/schedule/rubykaigi.org

スゴイ歓迎

 駅に着くとカイギ開催の案内表示に、歓迎の横断幕。


スゴイネッキ

会場に着くと、ホールに上がる階段が「MATSU MOTO RubyKaigi 2023」。一気にテンションが上がりますね。考えた人すごい。
 

セッションは、大ホールでの全体セッションのほか、最大3トラックでの開催。一部のセッションは、部屋に入りきれないほどの人気でした。予定外の事だったと思いますが、たまたま混乱の現場に居合わせまして(要するにそのセッションを聞きたかった(笑))、運営チーフがスタッフに対して行う機転の利いた指示にプチ感動しました。素晴らしいディレクションでした(これ以上部屋に人を入れない、安全の為に通路を人が埋めないようスタッフを配置するなどを冷静に淡々と)。

各セッションの内容は、いろんな人が書いているので私は個別には書きませんが、今Ruby界隈ではどのような事がホットな話題なのか、新バージョンへ向けての思い、まつもとさんのリーダーシップとみんなからの慕われ方、など、現場で3日間すごしたからこその肌感覚を感じさせてもらいました。

ブースもとても熱心で、面白い話をたくさん聞かせてもらいました。時々、自分たちのアピールに熱心すぎて引いちゃう事もなくはなかったのですが、全体として楽しそうに技術話を聞かせてくれる方が多かったのが印象的でした。技術カンファレンス、やっぱり最高。

感動のフィナーレ

 フィナーレでは噂に聞いていた「次回開催地発表」。練りに練ったのだろうなと思われるシナリオで、場を盛り上げて、盛り上げて、盛り上げての感動的な発表でした。
「松本よかった!蕎麦おいしい、あれもこれもおいしい、景色もいい、ルビーレッド色の座席の素敵なホール。でもひとつだけ足りない。Cがない。そう。Seaがない。青い海。ビーチ。海に囲まれた島。 次回は沖縄です!!」

意外と知り合いが

 普段から出入りしている界隈ではないため、完全アウェー(知っている人が数人いる程度)の覚悟で参加したのですが、いざ会場に行ってみれば予想の何倍もの知り合いがいて安心しました。実は結構Rubyで書いてるんですよ、という人から、定点観測点としていつも参加してるんですーという人まで色々。もう何年も顔を合わせていなかった人と再会できたり、ハッカソンで一度だけ一緒のチームになっただけの人が覚えていてくださったり(私のほうが人を覚えられないので、覚えていてくれて声をかけてくれてとても嬉しかったです)、この「人に会えた」という部分だけを取っても、参加した意義が120%あったってもんです。
 「会ってない期間が余りにも長いので、忘れられてるだろうなぁ」と思っていた島根の方々におぼえていただいてたことが嬉しくて、(今年の予定には入っていなかったのですが)島根にも行こうかなぁという気になっちゃうものだから、やはり「人と会う」ということの大切さを感じます。
 

自主練(勝手前夜祭)

 会期中にこそ知人らと再会できたり、紹介やパーティなどで知り合いが増えたりしたものの、松本についたその日(開催前日=デイゼロ)には「ぼっち参加」。その日の夜ごはんの予定もなく、Twitterに「だれか混ぜて!」とつぶやいたところ、@bash0C7 さんにお声がけいただきました。初対面の @Dominion525 さんたちと一緒に街歩きして店探し(私は店選びが苦手なので、一緒にわいわい言って探索しながら、でも最後は決断してくださるのが助かりました)。RubyKaigiの歴史やこれまでのエピソード、特に「川」のお話などを沢山聞かせていただき、ゼロ日目にしてアタマだけ経験豊富になったので、会期中の色々な話題も、会期後にTwitterで「川」の話題が流れてきたときにも、ずっと前から参加している気分になれたのが、とてもありがたかったです。

自主練(勝手アフター)

 こういったカンファレンス(カイギ)に遠征する時には、なるべく前後の日程を空けて、その土地およびその周辺の地域についての見聞を深めることにしています。今回もカイギの外側でも存分に堪能し、大きな収穫がありました。(ずっと見たいと思っていた松本城に行けたり、地図学的な聖地を訪問したり、なぜか碓氷峠を登ったり)
このへんの話は別途、noteあたりにでも書こうと思います。

技術コミュニティ考

 様々なカンファレンスや勉強会に参加させてもらってきた中で、拡がっていく「良いコミュニティ」と感じるものには、共通点があります。それは「その技術を常時触っているわけではない人が参加しても居心地が良い」ということです。ある技術の専門的な会話には前提知識を求められるのは当然のことですが、仲間内で盛り上がっていると、この求められる前提知識がどんどん上がって行ってしまうのですね。最先端の話をする時のこのテンポ感は、(詳しい人にとっては)とても心地よいのですが、時間が経つにつれどんどんと会話に参加できる人が減ってきて、コミュニティとしては先細りになってしまうのです。
 もちろん詳しくない人は詳しくないことを開き直るのではなく、当該技術に対するリスペクト、その技術に詳しい人に対する畏敬の念めいたものを持ち、技術や文化を吸収してやろうという姿勢が必要であることは言うまでもありません。
 今回「私が見た RubyKaigi」は、詳しい人は最先端の話を楽しむ一方、私のような初心者でもセッションの話題、懇親会でのお話、各ブースで伺うお話などで色々な情報に触れて、存分に楽しめる場でした。 こういうコミュニティの雰囲気は、ルールや規則でできるものではなく、それこそ長い年月をかけてみんなが作り上げてきた「文化」だと思います。この文化を創ってきた皆さんを尊敬すると共に、御礼を申し上げます。

最後に

 実はこのエントリ、Kaigiが終わってから2ヶ月近く経ってから書いています。書く時間を取れずに先延ばしになっていたのですが、「参加したという事実だけでも、3,4行で良いから残しておこうか」と書き出したら、楽しい思い出が次々に蘇って、あれも書きたいこれも書きたいと、長くなってしまいました。例によって「一発書き=書いた後はほとんど読み返さない」なのでお見苦しいところや、思いが先行して説明不足な部分があるかと思いますが、どうぞご容赦ください。
 今回 Ruby界隈の技術寄りの文化を体験させてもらいましたが、少し毛色が異なる松江のカンファレンスのほうも気になり始めています。参加することになった際には、特に今回お知り合いになれた皆様、どうぞよろしくお願いします!