6月21日発売予定の、『位置情報を扱う人のための 実践QGIS』(井口奏大著;秀和システム)を 一足早く ご恵贈いただいたので、紹介します。
もくじと第一印象
もくじは以下のようなもの。GISやQGIS、そして位置情報を扱うために知るべき「座標」「測地系」などの基礎知識といった基本情報を最初に習得し、その後QGISの具体的な操作に入っていくという構成です。私はQGISの本をすべてチェックしているわけではありませんが、これまで何冊か拝読してきたQGISの本が「ユーザ寄り」だとすると、本書は「開発者寄り」の色が強いように感じました(特に後半)。個人的には「この視点での本を待っていた!」という気分です。
開発者、という言葉を聞いて「じゃぁ自分は対象じゃないな」と思う人がいるといけないので補足すると、視点がやや開発寄りであるというだけで、開発者的な知識を持たないと読めないというわけではありません。むしろ今までの本とは少し違う立ち位置からの説明に「そうだったのか!」とわかることがある気がするので、そういう方にもお勧めしたい一冊です。
■もくじ:
第1章 GISとは
第2章 QGISのインストールと起動
第3章 GISデータを知る
第4章 QGISでデータを扱う
第5章 座標参照系(CRS)を学ぶ
第6章 地図の出力・印刷レイアウト
第7章 自動化・Pythonによる機能拡張
第8章 ハザードマップを作る
第9章 紙の地図をGISデータ化する
第10章 法務省登記所備付地図を利用する
第11章 衛星データを活用する
第12章 ベクターデータによる分析を行う
第13章 地形解析の手法を学ぶ
第14章 点群データの取り扱い
多岐にわたるデータの扱い
本書では、QGIS上に点(ポイント)や境界線などのデータを表示したり色分けしたり等の基本操作に留まらず。幅広いデータの取り扱いを紹介しています。
点データ、境界データ、航空写真からはじまり、今話題の法務省登記所備付地図XMLデータ(MOJXML)を著者の会社で作ったプラグインを使って読み込む方法、衛星データ(ラスタデータ)を扱う方法、更には点群データの取り扱いまで。すべてのデータではありませんが、一部のデータでは、こういった書籍に掲載したりする際の許諾の捕り方にもさらりと触れたりして、そういうちょっとした所でも実用的、実践的な内容です。
中でも、個人的に目を惹いたのは、いわゆる「紙地図」をQGISで扱う方法の解説でした。必ずしも正確な形で描かれていない「紙地図(実際は画像ファイルだったりPDFで公開されていたりしますが紙地図と総称しておきます)」を、いくつかの「特徴点」を指定することでQGIS上で実際の地図に合うように変形して表示してくれる機能です。この機能を使うためだけに本書を読んでも十分モトを取れる人たちも、結構いるんじゃないかな。
また、画面上でできあがった地図を印刷用にレイアウトしたりWebで公開するためのファイルとしてエクスポートしたりする機能の紹介は面白いと思いました。
要望
私のようなモノグサは、本書に掲載されているURLを打つのでさえ億劫になってしまいます(だめ)。井口さんの個人ブログ(本書を紹介するブログなど)で良いので、章や節ごとに、主なURLのリンク集を公開してもらえると、ブログを開きながら本書を読み進める助けになって嬉しいかなと思いました。(直リンでなく上のレイヤへのリンクのほうがふさわしければ、そのように解説付きで掲載するなど)
私だけでなくみんな([誰?])も助かると思うので、ご検討いただければ幸いです。




