06. "Hello" から始まるコミュニケーション

 一つ前の日記(05.サンディエゴ3日目)で書いた通り、こちらではすべてのコミュニケーションが "Hello" から始まるということに感心しました。積極的にコミュニケーションを取ろうと言う姿勢もさることながら、その言葉が "Hello" であることが重要なのです。


 どういう場合に挨拶をするのでしょうか。お店なら「いらっしゃいませ」、何かを尋ねたいなら「すいません」。日本語ではこんな感じでしょう。これらの言葉と "Hello" との大きな違いは、その【対称性】にあります。「いらっしゃいませ」には、来ていただいたことに感謝している側と来てやった側が存在します。「すいません」も同様、何かを教えてもらいたい側と教えてやる側が存在します。 もちろん実際にそれぞれの立場が存在するのは事実なのですが、これらが言葉に表れているという点に注目をしたいと思います。


 これに対して "Hello" に対する答えは "Hello" です。感謝の気持ちがあろうとも、申し訳ないという気持ちがあろうとも、言葉の上では対等なのです。言葉の対称性の上に成り立つ日常的コミュニケーションは、人々の物の考え方にも大きく影響を与えていると言えましょう。 「お客様は神様です」などと言いながら卑屈な対応をとることも、この対称性の挨拶の上では成り立ちません。「いらっしゃいませ」という言葉を発した途端に、客と店員の間に非対称な立場の差が明確に発生することとの違いは大きいのだろうな、と感じました。


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